樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

2023-01-01から1年間の記事一覧

OECDのPISA結果をどう読むか(J-135)

OECDが2000年から3年毎に実施している国際学力調査がある。 正式名称は「Programme for International Student Assessment」(国際学習到達度調査) で、多くの国で義務教育が終了する15歳を対象としている。本来なら2021年に実施さ れ るはずの第8回目調査が…

靖国神社について(9)(Y-64)

ここまで。靖国神社に関する経緯や問題点などについて、長い話を続けてきましたが、 現在も問題解決の方向は定まっていません。これまでに提案された解決策は、いずれも 各方面全体からの支持を得るには至らず、今は完全に手詰まりの状態です。それらの解 決…

靖国神社について(8)(Y-63)

<富田メモ> 「富田メモ」とは、平成18年7月20日に日経新聞が一面トップで「昭和天皇A級戦犯靖国 合祀に不快感」と報じる根拠となった、元宮内庁長官・富田朝彦氏のメモのことです。 富田氏は平成15年に亡くなりましたが、手帳14冊、日記13冊の記録を残して…

靖国神社について(7)(Y-62)

<靖国問題とは> 「靖国問題」で検索するとウィキペディアに次の6項目が挙げられています。 信教の自由の問題 政教分離に関する問題 歴史認識に関する問題 戦死者・戦没者慰霊の問題 A級戦犯に対する評価の使い分け 宗教的合理性と神道儀軌に関する問題 し…

靖国神社について(6)(Y-61)

<占領下の靖国> 靖国神社の一郭に「招魂斎庭(跡)」という一郭があり、そこはかつて御霊を合祀する 前の「招魂祭」という儀式を行うために設けられた聖なる場所でした。元は約7000坪ほ どの広さでしたが、今は使用されないため、そのほとんどが駐車場にな…

靖国神社について(5)(Y-60)

<靖国神社に祀られる英霊> 靖国神社に祀られている英霊の総数はなんと246万6千余柱にも上ります。 「英霊」という呼び名になったのは日露戦争の後からで、それ以前は「忠霊」或いは 「忠魂」と呼ばれていました。靖国神社の前身である東京招魂社創立の趣旨…

靖国神社について(4)(Y-59 )

この回は<靖国神社に祀られる英霊>について述べる予定でしたが、その前にその前身 である「東京招魂社」が誰の発案であったのか、またその目的が何であったのかを確か めておきたいと思います。一般的には、発案は大村益次郎で、その目的は戊辰戦争にお い…

靖国神社について(3)(Y-58)

<神社の種類と格付け> 明治新政府は、慶応4年(明治元年)「神道国教化」の方針を採用し、本地垂迹説に代 表されるそれまでの神仏習合を禁じる太政官布告(神仏判然令)を発しました。 本地垂迹説とは、日本の神々は仏が化身したものだという一種の神仏同…

靖国神社について(2)(Y-57)

<靖国神社の創設> 靖国神社のホームページには、その創建についてこのように記されています。 “靖国神社は、明治2年(1869)6月29日、明治天皇の思し召しによって建てられた招魂 社が始まりです。明治7年(1874)、明治天皇が初めて招魂社に御親拝の折にお…

靖国神社について(Y-56)

はじめに 先月半ばにこんな夢を見ました。 自分はまだ現役で、仕事を終えて家に帰ると5,6人の若者が私を待ち構えていました。 訳を聞くと、“「靖国神社」について意見を聞きたい”というのです。彼らの中では、意 見が分かれてまとまらないので教えてほしい…

ALPS処理水の海洋放出について(J-134)

日本政府と東電はIAEAのお墨付きを得て、8月24日スペース的に限界に達しつつあった 福島原発ALPS処理水の海洋放出に踏み切った。これに対し、中国政府が猛反発し、それ に呼応した中国国民からの嫌がらせや迷惑行為が拡大している。 これまで、どちらかとい…

マッカーサーの予言(J-133)

毎度のことだが、8月15日になると複雑な気分になる。 メディアはこの日を「終戦記念日」或いは「終戦の日」と呼ぶ。まずそれが気に入らな い。8月15日は「戦没者を追悼し平和を祈念する日」なのである。歴史的事実を言うな らば、この日は「玉音放送により日…

国歌は語る(最終回)=関係五か国の総まとめ(Y-55)

このシリーズでは、国名や国旗・国歌にはその国の成り立ちや性格、或いは民族の願い などが内包されているという前提に立ち、我が日本と関係の深い4か国について個々に 述べてきましたが、最後に総まとめとして、分析比較してみたいと思います。 この作業は…

国歌は語る(その5)=日本編ー2 (Y-54)

<日本の国旗> 日本の国旗は、法律上は「日章旗」一般には「日の丸」と呼ばれ、白地に赤い丸という シンプルな柄ですが、万国旗を並べた時にはとても存在感があります。また、「日本」 という国号にピタリとはまった見事なデザインだと感じます。それは「国…

国歌は語る(その5)=日本編ー1 (Y-53)

日本の歴史を遡ってゆくとやはり建国神話にたどり着きます。それ自体は珍しいことで はありませんが、朝鮮やその他の国の例と大きく違っているところが二つあります。 一つは、その神話が現在まで途切れることなくつながっているということです。具体的 には…

国歌は語る(その4)=韓国編 (Y-52)

<韓国の誕生> 朝鮮半島の歴史をどこまでも遡ってゆくと神話にたどり着きます。 一番古いのは、白頭山に降臨した天神の子と熊女の間に生まれた檀君が平壌で建国した という「檀君朝鮮」神話です。この後に、殷の一族箕子が殷滅亡時に朝鮮に逃れて建国 したと…

国歌は語る(その3)=ロシア編 (Y-51)

<ロシアの誕生> 8世紀ごろの歴史地図を開いてみると、ユーラシア大陸の広大な北方部分には川と湖の 名しかありません。人は住んでいたのでしょうが、国家らしきものは存在せず、世界と の関係はなかったということなのでしょう。年表には“862年 リューリク…

国歌は語る(その2)=中国編 (Y-50)

<中国の誕生> 中国の歴史は古く、どこまでも辿れば、黄河・長江文明と呼ばれる紀元前5000年までも遡ることが可能です。 確認できる最古の王朝は前1.6世紀ごろの「殷」で、以降数多の王朝が栄枯盛衰を繰り返 し、1912年の辛亥革命で「清」が倒れるまで続き…

国歌は語る(その2)

国歌は語る(その1)=アメリカ編 (Y-49)

前回のブログで、「国歌」はその国の成り立ちや性格を知るうえで、大いに役に立つと 述べましたが、実は「国名」そのものや「国旗」についても同じことが言えます。 それらを交えながら、日本がこれまでもこれからも、否応なくお付き合いせざるを得な い米・…

英国王の戴冠式から(Y-48)

5月6日、英国王チャールズ3世の戴冠式が行われました。 実に70年ぶりとあって、大いに世界の関心を集めるものと思われましたが、それほどで もなかったというのが私の印象でした。 購読紙毎日新聞の扱いもいたって冷ややかで、この日大したニュースがなかっ…

手製爆弾襲撃事件の遠因(J-132)

今は遠く離れて、会うこともままならない友人から突然の電話があった。 声を聴くのも何年ぶりかなのだが、不思議にもその空白感がない。時間的・空間的な距 離というものを感じないのである。 そのような友を「心友」という。しみじみと有難さを感じる存在だ…

WBCの勝利と未来(J-131)

3月22日、マイアミで行われた第5回WBCの決勝戦で、日本代表「侍ジャパン」が前回 優勝の米国チームを下し頂点に立った。 その最後のシーンは、“歴史的な映像”としてこの先何度も目にすることになるだろう。 決勝戦、日本は3-2と1点リードして9回表を迎…

サクラサクWBC(J-130)

球春という言葉は「広辞苑」には載っていない。しかし、よく目にする言葉でもある。 一般的には、プロ野球チームがキャンプをはり、オープン戦が始まる頃を言い、なんと なく桜の開花と合わせて”もうすぐだな“という気分が徐々に高まるシーズンである。 とこ…

ペンと剣(Y-47)

「ペンは剣よりも強し」という言葉があります。 一般に、“文は武に優る”という意味で使われていますが、現代民主主義の世界において は、“言(論)は権(力)に優る”という意味に特化されているようにも思われます。 とくにメディアの世界に生きる人たちには…

魂の衰弱(Y-46)

月刊誌「文芸春秋」の1月号は、“創刊100周年新年特大号”としていつもより存在感を示 しながら売り場に並んでいた。文豪菊池寛が“頼まれてものを言うことに飽いた”と言っ て1923年(T12)に同人誌「文芸春秋」を創刊してから100周年になるという。 記念号の大…

「どうする家康」「どうする日本」(その3)(J-129)

この正月、近くの山に登った。山と言ってもトレッキングコースの途中にある1時間ほ どで登れる山なのだが、それでも、南には名古屋方面の市街地、北には恵那山や御岳山 が望める眺望の良さもあって人気がある。家族連れも多いが、そのお目当ては頂上のベ ン…

「どうする家康」「どうする日本」(その2)

古今東西、民の願いは「安寧」であり、国家或いは為政者が国民に提供する最大の福祉 事業は「安全保障」に他ならない。 50年前、イザヤ・ベンダサン(山本七平)は「日本人とユダヤ人」の中で、”日本人は 安全と自由と水はタダだと考えている“と”平和ボケ“に…

「どうする家康」「どうする日本」(その1)

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、好評のうちに幕を閉じた。しかし私的には、物語の進 展とともに“このタイトルはどうも内容にマッチしていないのではないか”という違和感 があった。この13人が後の泰時の時代に設置された「評定衆」の元となる「13人の宿老 (…