樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

夢は突然に(J-67)

 

まさかまさかである。LPGAメジャー中のメジャー、今年の全米女子オープンは思いもよ

らぬ展開となった。最後に首位の4アンダーで並んだのは、畑岡奈紗と笹生優花の二

人、夢かとも思うプレーオフが演じられる事態となったのである。

そしてプレーオフの3ホール目、笹生がバーディーを決めて優勝した。

全米女子オープン最年少記録更新のおまけつきであった。

重ねて言うが、この展開と結末を予想したものはおそらくいない。

最終日のスタート時点で、トップは-7の実力者L.トンプソン、笹生がこれに続く―6

で、以下には-3が二人、-2が一人。畑岡は-1で、この難コースではもはや優勝圏外

かと思われた。誰が見ても圧倒的に有利な位置にいるのは、3日目を完璧なプレーで締

めた経験豊富なL.トンプソンで、わずかに可能性を残す笹生には、初めての大舞台を前

にして、有利な条件は何処にもなかった。

案の定、最終組がスタートして間もなく、笹生に異変が起きる。2番のティーショット

がとんでもないミスショットとなりこのホールをダブルボギーとすると、そのショック

からか次の3番ホールでもミスを重ねてダブルボギーを叩いてしまう。笹生にとっては

絶望的なあっという間の5打差である。

ところが、この“事件”が両者の心に微妙な影響を及ぼすことになる。

普通なら心が折れてしまうところで、おそらく、優勝のプレッシャーから解放された

笹生は落ち着きを取り戻し、逆にトンプソンの方は強く優勝を意識し始める。

トンプソンの動きに固さが見え始め、表情笑顔が消えてゆく。

そうこうしているうちに、一組前の畑岡がスコアを伸ばし、3人のスコアが接近してく

る。16番が終わった時、3人のスコアはトンプソン-5、畑岡-4、笹生-3と1打差で並

び、もはや優勝の行方は読めない状況だ。

そして17番のロング、トンプソンはラフからの3打目を大ダフリして届かず、4打目を

グリーン手前からパターで寄せるも1.5mを外してボギー、笹生はバンカーからの3打目

を見事に寄せてバーディー、ここで遂に3人が―4で並んでしまう。

運命の18番、一組前の畑岡はバーディーパットがわずかに右を抜け―4で最終組を待つ

ことになり、トンプソンはバンカーから下り2mにつけたパーパットを外し無念の脱

落、笹生はバーディーパットが決まらずパー。そうして遂に、思いもしなかった日本人

同士のプレーオフとなるのである。

プレーオフはまずは9番18番の2ホールのスコアで争われる。そして9番では畑岡に、

18番では笹生にバーディーチャンスがあったがいずれも決めきれず、つぎの9番に向か

う。ここからはサドンデスの戦いだ。ティーショットは笹生が右のラフ、畑岡はフェア

ウェイ。2打目を先に打った笹生の球は、ピンの右手前に落ちてゆっくり2mに寄り畑

岡にプレッシャーをかける。畑岡は残り105ヤード絶好のポジションだ。解説の岡本綾

子は“ピッチングでコントロールショット”と応援の声を発したが、畑岡はサンドウェッ

ジでピンをデッドに狙う道を選ぶ。高く上がってピン手前に落ちた球はバックスピンが

かかって7~8mに離れていく。ピンチである。

観ている方は、ここは渋野が全英で見せたような壁ドンパットを狙うしかないだろうと

思ったのだが、畑岡のパットは弱弱しく手前で曲がり止まってしまう。

そして遂に最後の瞬間が訪れる。この緊張の場面を、笹生はいつもと変わらない様子で

アドレスをし、いつものように打つ。球はややフックのかかるラインに乗って真ん中か

ら気持ちよさそうにカップインする。

その時の笹生の動きが実に印象的だ。そのとき彼女は、まるでまだ次のホールが待って

いるかのような、小さく、実に控えめなガッツポーズをしただけだったのである。

歴代優勝者のなかでこれほど控えめな喜びの表現をした選手がいるだろうか。

もしかすると、そこが笹生の最大の特徴であり、ゴルフという競技に対する適性なのか

もしれない。

いずれにせよ、日本人にとっては夢のようなひと時を二人からプレゼントされたわけだ

が、これが青天の霹靂のような出来事かというとそうでもないように思う。

2年前、渋野日向子が全英を制したとき、メジャー優勝は樋口久子以来の40何年振りと

騒がれたのだが、その時 “次は早いだろう”という予感があった。これほど早くとは思

わなかったが、最近の日本人選手のレベルは、80年~90年代にかけて岡本綾子一人が挑

戦を続けていた頃とはずいぶん変わっている。

2014年の横峯(7T)15年の大山(5T)16年の野村(8T)18年の畑岡10T)、

19年の比嘉(5T)と毎回のように誰かが上位争いを繰り広げ、昨年は渋野(4)

高橋(11T)、笹生、岡山(13T)畑岡(23T)と上位グループに日本人選手の名前が

並んだ。その傾向は世界ランキングにも表れている。

直近のデータによるとランキング50位以内の国籍は次の通りだ。

1位:韓国18人、2位アメリカ13人、3位日本7人、以下タイ3、豪3、英2と続き,

カナダ、中国、ドイツ、スペインがそれぞれ1となっている。近年、アジア勢の勢いが

顕著になっていて、その傾向はさらに強まりそうな勢いなのである。

 どういう偶然か、今回のコースは、サンフランシスコ郊外のオリンピック・クラブ・

レークコースであった。間近に迫った東京オリンピック二重国籍を持つ笹生はフィリ

ピン代表として、畑岡は日本代表として出場することが濃厚だ。オリンピックという舞

台で、しかも国内のコースで、再び彼女たちが最高のプレーを見せてくれるという可能

性は十分にある。夢には続きがありその時は近い。実に楽しみだ。

ただ、無観客などという無粋な処置が下されないことを祈るばかりである。

                            2021.6.10

わがコロナ騒動(J-66)

1週間前、軽い風邪の症状があり熱を測ってみたら37.4度ある。

例によって葛根湯を飲んでそのままベッドに入ったのだが、熱はどんどん上がって38.7

度になった。

あまり高熱にならない自分としては、記憶にない数値である。しかし、体の節々が痛い

他は咳や鼻汁などの症状がなくなんだかおかしい・・・。

「まさか?!」と思うより早く家内の方が騒ぎ出した。

「あなたの風邪はそんなに熱が出ないし、食欲がなくなったりしない。」よって、

「極めて怪しい」と断を下し、さっそくあちこち消毒を始める始末となった。そして、

「うろうろしないで自分の部屋へ、そして直ちに病院に相談せよ」と私に命じた。

こんなとき、私はいつも“もう少し様子をみてからにしよう”と考えるのだが、彼女は行

動が早い。よく言えば、有事の女である。

その剣幕に押され、翌日の診察を約してその晩は「ロキソニン」を服用して早々に床に

就いた。

目覚めると大量の汗をかいており、体の痛みもなく気分は悪くなかった。

熱は37.0度まで下がっていた。

“治ったじゃん”と思ったのだが、家内は納得してくれそうにないので団地に隣接する総

合病院に電話した。

「あの~、ちょっと熱があるのでご相談を・・」といいかけるとすぐに

「担当に回します」となり、慣れた感じの看護師に代わった。

彼女は最初に診察券番号を聞き、次いでこれまでの経緯や現在の症状などをてきぱきと

質問した。そして最後に「何分後に来られますか」と問い、到着したら「自家用車で身

障者用駐車場に止めて電話してください」と指示をした。

その通りにして電話をすると、全身ガード状態の看護師がやってきて、私の鼻から検体

を採取した。

「ひどいことするでしょう。ごめんなさいね」と言いながら、次々に3本も細長い棒を

差し込み、ひっかきまわし、まるでその行為を楽しむが如く鮮やかにその作業を終え、

「では1時間ほどかかりますのでこのままお待ちください、もしトイレに行きたくなっ

たら電話してください勝手に車を離れないように」と念を押して去っていった。

車の中で、携帯「dマガジン」を読んでいるとちょうど1時間過ぎたころ同じ看護師が

やってきて検査結果を告げた。

B5の検査結果報告書には、三つの(―)表示があった。その二つはインフルエンザであ

り、もう一つが新型コロナの検査結果であった。

PCRはそんなに早く検査結果が出ないと思っていたので、「抗原検査ですか?」と聞

くと、「いえ、簡易的なPCR 検査です」という答えであった。

そして、有難いことに薬の方もその看護士が薬局まで出向いてもらってきてくれた。

支払いは元気になられたあとでということで結局車からは一歩も出ることなくすべてが 

完了した。なかなかうまい方法を考えたものである。

簡易的PCR検査の正体がはっきりしないが、NEAR法と呼ばれるもので、精度は従来法

とあまり変わらないものらしい。とはいえ、

「検査結果は完ぺきではないので、容体に変化があれば電話するように」との予想通り

の指示であった。

薬は、平凡な抗生物質と喉の薬と沈痛解熱剤5日分で合計260円と安かった。

沈痛解熱剤は「ロキソニン」はウィルス性疾患の場合副作用が出ることが在るので今回

処方した「カロナール」にした方がいいとの注意を受けた。

それから5日、酒も口にできる(少々弱くなった感がるのは抗生剤のせいか)ようにな

り、どうやら無事に済みそうな気配となった。

さて、今回の「コロナ感染」を疑った短い期間、私が何を感じたのかを振り返ってみよう。

「死にたくない」という気持ちよりも、もし感染していたら私の周辺への影響はどうな

るだろうという心配の方が強かったと思う。入院しようが死亡しようが、それを望みは

しないがまあしょうがない。しかし、家族を始め付き合いのある人たちへの迷惑を想像

すると耐えがたいものがある。指定感染症の本当の怖さはそこにあるのかもしれないと

も思う。

テレビでは、「誰にも感染の可能性があるのだから感染者を差別してはいけない」と

無責任なコメンテーターが言う。しかし、それは甘い。

指定感染症に指定するということは、「差別します」という宣言でもあるのだ。

そこをはっきりと示すことが、“若者も重症化する可能性がある” よりも効き目があり

そうにも思う。

もう一つ思ったことは、“そろそろ終活を始めるべきだな”ということなのだが、具体的

な行動にはまだ踏み切れずにいる。

                      2021.5.27

五輪開催は世界との約束(J-65)

 

五輪開催まであと2か月余りとなってもコロナ感染収束の兆しが見えない中、中止の決

断を迫る動きが活発化している。メディア報道からは、国民の過半数が中止を望んでい

るように感じられるのだが、本当にそうなのだろうか。もし、そうだとして、それは正

しい判断なのであろうか。そう思わない私は間違っているのだろうか。

理由付けは後に回すことにして結論を先に言うと、私はその規模や実施要領などに条件

が付されるとしても、五輪は開催されなければならないと思っている。

 

振り返れば、2013年9月7日、オリンピックの東京招致が決まったとき、日本は2020年

の開催を世界に約束したのだ。

ところが思いもよらぬパンデミックが勃発し、1年の延期が認められた。そしてこの

時、日本は2021年開催という新たな約束を結んだことになる。

中止を決定する権限はIOCにあって日本側にはない。規約では中止の条件として、

戦争、内乱、ボイコットのほか、大会参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かさ

れると信じるに足る合理的な根拠があるとIOCが判断した場合となっている。

日本ができるのは”中止“ではなく“返上”である。そうなれば1940年に次ぐ2度目の不名誉

な事態となる。賠償金が発生するかどうかは別にして、参加国の過半数が不参加を表明

でもしない限りそうやすやすと止めるわけにはいかない。“自己都合”で約束を破る行為

は末代まで禍根を残す・・・と私は思う。

 

ここで、中止を訴える側の意見をとりあげ少し掘り下げてみよう。

第一に共同通信の全国電世論調査がある。

5月15,16に実施された調査の結果は、中止すべき:59.7%、無観客で実施:25.2%、

制限をつけて実施:12.6% であったが、多くのメディアが、前回(4月調査)よりも

中止が20.5ポイントも急増したと報じた。しかしそれは正しくない。実は4月と5月では

設問が異なるのである。4月のデータは、中止:39.2、開催:24.5、再延期32.8であっ

た。見かけ上は、たしかに中止が39.2⇒59.7と20.5ポイント上昇している。しかし、

開催も13.3ポイント上昇しているのだ。何が起きているのかと言えば、再延期を望む人

たちが中止と開催に分かれ、より多くが中止側に流れたということだ。再延期を望んだ

人たちの本心は、できればやってほしいということだろう。それが中止に多く流れたと

ころにからくりがある。

まずこの調査が、聞き手の意向や誘導に大きく影響されやすい電話調査であるというこ

とだ。そして調査機関が共同通信であることも考慮しなければならない。

共同通信の顧客は言うまでもなく新聞社とか放送局などの大手メディアである。

つまり、共同通信には、それらの顧客が買ってくれるネタを提供しなければならない

宿命がある。

この通信社は北朝鮮キューバにも支局を置いたことを自慢しているが、逮捕されたり

追放されたことがないことを勘繰れば、流した情報の中立性には疑問符が付く。

 

次に目立っているのは立憲民主党である。

5月10日午後の参院予算委員会蓮舫議員が総理を問い詰めた。

「オリンピック選手と一般の国民のどちらを優先するのか」

これに菅総理が「選手と国民は別の管理になる」と答えたので、蓮舫議員は「そんなこ

とは聞いていない。もし外国選手と国民が同時に救急搬送を要する事態になったらどち

らを優先するかと聞いている。国民でしょう」と食い下がり、質疑が何度か中断される

事態となった。このあたりは私の記憶違いがあるかもしれないが、5.11の毎日デジタル

では、千葉商科大の田中信一郎准教授(政治学)のコメントを次のように報じている。

“選択肢は「オリンピック」と「国民の命」と「どちらでもない」の三つしかない。

でも首相はどれも選ばなかった。“

つまり、この准教授は、“首相は答えをはぐらかした”と指摘しているのである。

しかし、その見方は恣意的と言われても仕方がない。

選択肢はもう一つある。それは「どちらも」だ。そして首相はそれを選んだのである。

失礼ながら、政治家のくせに口下手な総理の気持ちを代弁すればこうなる。

“選手たちは一般とは別の管理下に置かれるので、心配されているような事態は起こり

えません。オリンピックと国民の命は比較できるものではなく、どちらも大切なものと

考えております。”

 

最後の一つは市民運動である。

中心にいるのは、都知事選でおなじみの元日弁連会長・宇都宮健児氏である。

都知事選立候補のときからオリンピックには反対していたので、今に始まったことでは

ない。このグループは、そもそもナショナリズムに結び付きそうなものや出来事が大嫌

いだ。それが今回は、“オリンピックにかかる金をコロナ対策に回して命を守ろう”など

とキャンペーンを張り、35万人の署名を集めたらしい。しかし、オリンピックにかかる

費用は既にほとんどが使用済みだ。これからの分と中止による損失分を比較するともは

や何とも言い難い段階になっているらしいのだ。どうやら共産党の支援(指示?)を受

けているようだが、この緊急事態宣言下でデモ行進を決行するなど、どこかピントがず

れている。

池江璃花子選手に“五輪に反対の声を上げてほしい”などと無神経かつ残酷な“おねだ

り”をしたのもこのグループかそのシンパであろう。この人たちは、付き合えば“いい

人”が多いのだが、一種の原理主義者的傾向があり、目的が正しければ(正しいは勝手

な思い込みなのだが)手段は問わないという、”愛国無罪“に似た精神構造の持ち主で始

末が悪い。

病院の窓ガラスに”もう限界“と張り紙をしたグループもあるが、五輪のスポーツドクタ

ー200人の募集に393人の応募があったことなどからすると、医療ひっ迫の問題は実

は“一部の”医療ひっ迫問題であることが見えてくる。

問題は数ではなくシステムにあるのだ。

 

以上、五輪中止キャンペーンを広げる三つのグループを取り上げてみたが、よくみると

共通の思想が流れている。表面的には”政府批判“であり、内面的には”自己都合“だ。

“万難を排して約束を守る”美徳はもはや何処かに消えてしまったのだろうか。

                         2021.5.19

 

 

首長の優先接種悪いのか?(J-64)

 

ようやくワクチン接種が始まったかと思えば、これがなかなかはかどらない。

その理由をつきつめていくと、ことごとく緊急事態下での特例(規制緩和)が定められ

ていないことに集約されると思うのだが、果たしてその教訓は生かされるのだろうか。

それとも、“喉もと過ぎれば・・”がまたも繰り返されてしまうのか。残念ながら、

手が付けられたことと言えば、「国民投票法」が7項目にわたりマイナーチェンジされ

ただけで、本格的な改善の動きは見えない。

 

かくして、がんじがらめの制約の中で、政府は1日100万回という数値目標を掲げたのだ

が、即座に「ムリ~」と悲鳴を上げた自治体もある。もしそれが可能だとしても、国民

全員に2回接種となれば、240日以上が必要となる。容易なことではない。

そんな中、自治体の首長などが、医療関係者や高齢者向けのキャンセル分を優先的に摂

取したことが判明し、これを非難する声が上がっている。

“抜け駆け”だというのである。

キャンセル分を無駄にしない方策が求められる中、このような例は数多くありそうなの

だが、気の毒にも、真っ先にやり玉に挙げられたのは、茨城県城里町のK町長(42)と

兵庫県神河町のY町長の二人である。14日朝の東海テレビ(フジ系)「めざまし8」で

も、これらの町長の行為には批判的で、取材に応じた街中の声も概ね”けしからん“とい

う声が優勢であったのだが、番組中で実施されたリアル投票結果は、賛成59、反対41

で、これらの自治体がとった処置を容認するものが多数を占めた。

驚いたのは、この結果に対して、総合解説の風間フジテレビ解説委員が「ショック」だ

とコメントしたことだ。フジにしてそうなら他は“推して知るべし”である。ほとんどの

メディアがスキャンダル扱いをしているようだ。

非難の声を上げている人たちは、不平等だ、不公平だという。

ならばどうすればよかったのか。その数が不明なキャンセル分に対して、さらに予約を

取らせるのか、行列を作らせるのか。

公平・平等を厳格に守ろうとすれば、その効率は著しく悪化する。極端な話、キャンセ

ルがなければすべては徒労に終わるのだ。人々の不満は間違いなく「爆発する。

やはり非常時には公平性や平等性よりも効率を優先しなければならない。

“ 兵は拙速を尊ぶ”という言葉の通りだ。

更にもう一つの問題がある。自治体の首長などはそもそも優先されるべき立場ではない

かということだ。

コロナ対策に熱心で、先頭に立って活動する首長ならば、感染のリスクもまた高くなる

であろう。首長が倒れた時の混乱を案じて職員があらかじめ手を打ったとすれば、それ

は理解できるし、その職員は”ごますり”ではなく、むしろ有能であると評価すべきだ。

それを”上級国民“などと呼んで僻むのは褒められたものではない。

16日(日)の「日曜報道」では容認が64%に上がっていたので、そのトレンドに少し

安堵したが、それでもなお、36%もの「けしからん組」が存在していることも事実だ。

以前、「寛容性が失われてゆく昨今の風潮」に対する懸念を述べたことが在ったと思う

が、それよりもなんだか陰鬱な、”ひがみ根性社会“が形成されつつあるようにも思われ

て気持ちが悪い。取り越し苦労で済めばいいが、「武漢肺炎」よりも「恨の文化」に感

染する方がはるかに深刻だと思うからだ。

 いずれにせよ、“元気な町長より持病のある俺の方が優先されるはずだ”と考える人たち

や、自分と首長の優先度は同等だ”と主張する人たちがかなりの割合で存在し、しかも

それを堂々と口にする人たちがいるのである。

私はそこに日教組の影を感じないわけにはいかない。

思い出されるのは、“お手て繋いでゴールイン”という典型的なエピソードだ。

ある小学校の運動会で、児童全員に手を繋がせ横一線でゴールインさせたというもの

で、日教組の公平・平等感を象徴する出来事だ。

そして、教師たちは教壇から降り、児童生徒と同じ目線で接するべしと心に決め、友達

のような存在になろうと努めた。怖い先生は父兄からも仲間からも嫌われる存在となっ

たのである。さらに日教組は、“自分こそが最も貴重な存在である”という思想を子供た

ちに植え付けた。

献身や自己犠牲などの尊い精神には概ね無関心で、時には激しく嫌悪しながらこれを忌

避する姿勢を取り続けてきた。長きにわたる洗脳教育のおかげで、庶民のなかに「自分

第一主義」が浸透していったことは間違いない。

「人の命は地球より重い」という言葉や「世界に一つだけの花」という歌にどこか心惹

かれたことのある自分も、もしかするとその影響を受けているのかもしれない。

                              2021.5.16

 

 

 

どこかズレてる毎日の世論調査(J-63)

 

GWのさなか、毎日新聞が二つの世論調査結果を発表した。

コロナによる足止めのおかげで、有り余るほどの時間があり、その記事をじっくり

読ませてもらったのだが、どうもしっくりこない。どこかズレている感じがして

ならないのである。

 

まず一つ目は、憲法改正に関するものだ。

5月3日、毎日新聞が発表した憲法改正の賛否を問う世論調査の結果は、

    改正に賛成:48%、反対:31%

というもので、2020.4の安倍内閣当時の結果(賛成:36%、反対:46%)に対して

大きく賛成側に比重が移ったことを示したものであった。

しかしこの間、自民党が提案している4つの項目(自衛隊、緊急事態、選挙法、教育)

に関する主張は何も変わってはいない。

ならば、この民意の変化をもたらした要因はどこにあるのだろうか。

その答えを当の毎日に期待するのは読者として至極当然である。

ところが、どういうわけか、毎日が8,9面全体を使って取り上げたのは、「同性婚

夫婦別姓」の問題であった。

しかし、そのテーマは、憲法の下位にある民法などの規定が「憲法違反」に当たるか

どうかの問題であって、基本的に憲法改正とは関係がない。

変えたければ変えればいい話である。

毎日新聞は、憲法改正の議論から民意をそらそうとしているのであろうか。

そもそも、この世論調査を実施した「社会調査センター」とはどういう組織なのか。

調べてみると、かなり問題があると言わざるを得ない。

この会社は、2020年4月埼玉大学内に設立された会社であり、社長は埼玉大学理事兼副

学長の重原氏であるが、調査研究部長及び次長は毎日新聞の関係者であり、実質的に

毎日新聞の子会社のような存在だ。

それだけではない。さらに問題なのは調査結果に明らかな“偏り”が見られることだ。

例えば、この会社が調査した菅内閣の支持/不支持率をみてみると、他の5社(朝日、

読売、共同、日経、NHK)平均に比べ10%以上、支持するは低く、支持しないは高い

数値となっている。つまり、“桁外れ”に政権批判が強い傾向を示しているのである。

何らかの意図なり処理なりが疑われても仕方がない結果だ。

毎日新聞は原則すべての記事に記者の氏名が添えられる。私が毎日を購読する第一の

理由がそれだ。

しかし、いかにも第三者的な調査機関を装った、いわば姑息な、らしくない世論調査

方法はいかがなものか。

早かれ遅かれ、いずれ厳しい目が向けられることになるだろう。

 

もう一つは、「オリ・パラ開催の是非に関する全国知事調査」の結果である。

この調査は4月20日全国の知事にアンケート調査票を送り28日までにすべてを回収した

結果を発表したもので、5月4日の1面トップと21面の大半を使って紹介された。

どうやら、4月中に実施された報道各社の世論調査で「中止・延期」がほぼ6割程度あっ

たことを踏まえ、更にこの傾向を助長して政権にダメージを与える狙いがあったのかも

しれないが、もしそうだとすれば空振りに終わったと言わざるを得ない。

アンケートの選択肢は次の4つであった。

 ① 感染状況にかかわらず開催すべきだ

 ② 感染状況次第で中止・延期すべきだ

 ③ すぐに中止・延期にすべきだ

 ④ わからない   

この中で、①③を選択したものはおらず、②を選んだ知事が9人、④が5知事という結果

であったらしい。つまり、それ以外の33知事は無回答(選択肢を選ばない)であったと

いうこいとになる。

これは、アンケート調査としては完全な失敗である。本来なら設問を替えるなりして

やり直すべきであろう。それを恥ずかしげもなく記事にする神経が情けない。

オリ・パラ開催は、日本が試されているといってもいい歴史的大事業である。

実現するには何が必要か、どのような条件を満たす必要があるのか、メディアの視点が

これまで一度もそこに向けられなかったのは、残念としか言いようがない。

                          2021.5.5

                                       

 

 

ワンマンショータイム(J-62)

投げて 打って 走って、おまけに小技まで決めて・・・

大谷翔平が絵にかいたようなワンマンショーを演じて、世界の野球ファンを魅了した。

ショウヘイ・オオタニが二度目のリアル二刀流で出場すると予告されていた4月26日の

レンジャーズ戦は、試合前から全米の注目を集めていたが、彼が示したパフォーマンス

はファンの期待以上のものであった。

1回表、1アウト走者なしで迎えた第1打席は四球を選んで出塁し、トラウトのヒットで

2進すると、次のウォルシュの右前打で生還し1得点をあげる。ライトは強肩の選手で

あったが、まずはここで大谷の俊足が生きた。

その裏、初回のマウンドに立った大谷の膝には、このゲームの主役が彼であるかの如

く、ホームに滑り込んだ際の泥がついていた。

しかしその初回、投手大谷の出来は”悲惨“としか言いようがなかった。

1死後、ボテボテの当たりが内野安打になると、四球、ホームランと続いてあっという

間の3失点である。さらに四球二つに暴投が加わり、犠牲フライでもう1点、結局この回

に29球を要して4失点、前回同様勝利投手の権利が得られる5回は投げきれまいと思わせ

る乱調であった。

ところが、誰もが抱いたその重苦しい懸念に希望の光が差し込んでくる。

2回表、2死1,2塁で迎えた第2打席、大谷は痛烈な2点2塁打を放ち、さらに自身も後続

のヒットで生還して4-4の振出しに戻るのである。

そこからの投手大谷はまるで別人のように蘇り、三振の山を積み上げてゆく。

2番手の相手投手、韓国から移籍したばかりのヤンも好投して膠着状態が続く。

そして6回表、先頭の大谷がやってのけたのは何とセーフティーバントだ。

これに驚かなかったのは、おそらく本人だけに違いない。奇襲攻撃は見事成功し、

そして彼は三度ホームベースを踏むことになる。

ここで、またもや右手中指あたりに問題が生じたらしく、彼の姿はベンチから消えた

のだが、彼の熱気は残り、エンジェルスはこの試合を9-4で勝利した。

結局大谷は、投げては5回3安打4失点9奪三振の75球で勝利投手となり、打っては2安打

1四球2打点3得点の大活躍であった。

MLBはいろいろと古いデータを提供するのが好きなようだが、今回も次のようなデータ

を引っ張り出してきている。

・100年ぶり:ホームラントップの選手が先発(1921.6.3 ベーブルース以来)

・50年ぶり:投手の2安打3得点(1971.5.1 ジム・ペリー以来)

・60年ぶり:投手の2安打3得点9奪三振(1961.6.11 ルイス・ティアント以来)

 といった具合だ。

大谷翔平は、これからも多くの歴史を掘り起こし、そして書き換えてゆくに違いない。

MLB取材歴24年目のベテラン記者ジェフ・フレッチャーは、シーズン前に大谷の今期

成績を予想して、打者としては打率2割6分、16本塁打、65打点、投手としては、8勝

防御率4.24 くらいとしたが、この試合後、”修正の必要がある“とコメントした。

また、CBSスポーツのアクシサ記者は、134年間出ていない150/150の大記録(150

奪三振、150塁打)が生まれる可能性があると期待を寄せている。

いずれにせよ、多くの関係者が“彼の伝説はまだ始まったばかり”だとみている。

大谷の凄さは専門家であればあるほどわかるものらしい。

何のつながりもなくても、なんだか誇らしく思うのは私だけではあるまい。

                          2021.4.28

韓国に何が起きているのか(J-61)

 

4月21日、ソウル中央地裁は、元慰安婦らが日本政府に賠償を求めた訴えを却下した。

至極当然の判決なのだが、日韓両国の政府・メディア・国民ともに狐につままれたよう

に唖然として、不思議な静寂が続いている。というのも、同じ地裁がほんの3か月前

に、別のグループに対して日本政府に賠償を命ずる判決を下したばかりだからである。

一体何が起きているのだろうか。

実は韓国の人事異動は2月が主流で、判事は入れ替わっている。同じ地裁ではあるが、

流石に同一の判事ではない。しかし、裁判長だけは交代しておらず同じ裁判長が180度

異なる判決を下したことになる。

当然、韓国メディアの論評も次のごとく分かれ、歯切れが悪い。

朝鮮日報反日であれば国際法を無視していいことにはならない。今回の判決は世界の

     論理に従ったもので、1月の判決は国民感情に従ったものだ。

中央日報:日本との外交で解決せよ

東亜日報:真逆の慰安婦判決、日本に賠償請求できない

京郷新聞:同じ地裁が異なる二つの判断をした

ハンギョレ新聞:覆された正義

ソウル新聞:どの国の裁判所なのか

日本のメディアもあまり大きくは取り上げていない。

共通しているのは、これが日韓関係改善のきっかけにはならないだろうという見方だ。

日本メディアの一部には、文在寅政権への求心力が低下していることの証左であると論

評しているものもあるが、それは読みが浅い・・と思う。

実際は、文在寅大統領がこの判決を望んでいたのである。

あからさまに言えば、”悪あがき”のようなものだ。

そのヒントは、判決が下ったのとほぼ同じころ鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相が発し

た次のコメントにある。

“・・国家安保室長当時数回にわたって日本政府高官と協議したが、毎回日本が自分の

主張だけを一貫して行う態度に驚いた。協議を壊そうとしていた。・・韓国政府が慰安

婦合意を破棄するといったことは一度もない。韓国政府は合意の枠を維持しながら現実

的な解決方法を追い求めていく”

日韓合意に添った行動を全くとらず、むしろ反対の動きをしてきた文政権の実情を知る

ものからすれば、実にあきれるばかりの内容であるが、誰に向けた発言かと言えば

それはアメリカだ。端的には、バイデン大統領に向けた発言なのである。

2015年日韓合意の事実上の立会人は、当時オバマ政権時代の副大統領であったバイデン

現大統領その人だ。

文大統領は、5月末に訪米し、米韓首脳会談を行う予定となっている。

このところすっかり信用を失っている文大統領とすれば、かなり大量の“言い訳”を準備

していることだろう。

                            2021.4.23