樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

バレーボールが熱い(J-113)

「1972ミュンヘン・オリンピックで、男子が「金」女子が「銀」を獲得した団体競技

いえば?」・・・・クイズ番組にでも登場しそうなほど遠い記憶となってしまったこの

答えはバレーボールである。かつては“お家芸”とまで言われ人気を博したこの競技が、

長いトンネルの闇を抜けて今輝きを取り戻している。

バレーボールの国際大会は、2018年からネーションズリーグという形になって毎年行わ

れているが、日本チームはこれまであまりいい成績を上げられていない。それどころ

か、以前のワールドリーグ(男子)、ワールドグランプリ(女子)の時代を含めて、

1990年あたりから低迷がつづいている。

すこし歴史をさかのぼってみよう。

バレーボールが初めてオリンピックに組み入れられたのは1964年の東京である。

この晴れの舞台で日本チームは、男子が「銅」、女子が「金」を獲得した。特に、女子

の決勝対ソ連戦は日本中が熱狂し、この時の66.8%というTV視聴率は1984年以前の紅白

歌合戦を除けば、いまも歴代一位の座を保っている。日本女子の「金」は1936年の

前畑(平泳ぎ)以来であり、彼女らは”東洋の魔女“とも呼ばれるヒロインとなった。

女子はその後も1976年モントリオールで「金」を獲るなど、しばらくトップグループに

いたが、男子はミュンヘン以降急速に力を失った。そして1990年ごろからのワールドシ

リーズでは、男子は概ね15位前後、女子は5,6位あたりが定位置となった。

2018年からのネーションズリーグの成績も次のようにさほど変わらない。

 

            ネーションズリーグの成績

          男子                女子  

   優勝  2位  3位 (日本の順位)  優勝  2位  3位 (日本の順位)

2018 ロシア フランス アメリカ    12位          アメリカ  トルコ    中国    10位

2019 ロシア アメリカ ポーランド  10        アメリカ ブラジル 中国    9

2020         ・・・・コロナにより中止・・・・

2021 ブラジル ポーランド フランス 11            アメリカ ブラジル トルコ     4

 

ところが今年は全く様相が異なり、男女ともに予選リーグで好成績を収めている。

今年は予選リーグが従来の16チーム”総当たり戦“ではなくて、4試合×3ラウンドの

各チーム12試合の予選リーグを行う。その上位8チームが決勝トーナメントに進むとい

う方式だ。男女共にここまで8試合を消化し、男子は6勝2敗で4位につけ、女子は8戦全

勝の首位に立っている。

男子の2敗は優勝候補のアメリカとフランスで、アメリカとは2-3セットの惜敗、フラン

スにはBチーム0-3ながらも好勝負を演じたので、もし決勝トーナメントで再戦するとな

れば勝つチャンスは十分ある。最終ラウンドは大坂が会場になるので地の利もあり、初

めての決勝トーナメント進出は勿論、メダルへの期待も膨らむ。

女子は、既に3連覇中の最強アメリカを3-0で下しているので、今日からの最終ラウン

ドで当たるオランダ、トルコ、セルビア、ベルギーにも負ける要素は見当たらない。

 

わずか1年前の東京オリンピックでは、男子は開催国枠で出場しベスト8に進出したが、

ブラジルに3-0で敗れて敗退し、女子は予選を突破できなかった。そのチームが1年足ら

ずで、これほど強くなるとは驚きである。どこにその秘密があるのだろうか。

いずれ専門家の分析がなされると思うので、素人が口をはさむべきではないが、素人が

口を挟めるのは今しかないので、この際敢えて口をはさんでみたい。

ここまで強くなった要因は色々あると思うが、あえて絞り込めば、男女ともにそれは

「サーブ力」と「新戦術」ではないかと思う。

男子のイタリア戦、日本は3-2でこの激戦をものにしたが、イタリアの強力なブロック

による得点とほぼ同じサーブポイントを挙げたことがまず挙げられる。もうひとつは、

高いブロックへの対策として、ブロックが完成される前にスマッシュを決める速攻と、

ブロックの壁にソフトに当ててリバウンドをとり多彩な攻撃に結び付ける戦術である。

いわば、体格とパワーのハンデを日本流の戦術で補う作戦だ。

 

ここで終わるつもりであったが、今日からカナダで始まった女子の最終第3ラウンド

の初戦対オランダ戦で”異変”が起きた。ここまで8戦全勝の日本が1勝7敗のオランダに

敗れたのである。最も楽な戦いのはずが、接戦に持ち込まれた末に2-3で負けてしまっ

たのだ。ほぼ予選敗退が決まったオランダはのびのびと闘い、おそらく最高の出来であ

ったのに対し、日本は受けて立とうとした。それが思い切りを失くし攻撃が単調になっ

てしまったように見えた。

この敗戦から言えることは、もともとチーム力の差はそれほど大きいわけではなく、

好不調の波や試合の流れで勝敗は変わるということだろう。

女子の次戦は7.2(土)のトルコ戦となる。オランダ戦を反省し修正するというよりも、

ここまでの戦いを思い出してもらいたい。

男女が揃って決勝トーナメントに進出するとなれば初めてのことだ。

猛暑の中、熱い戦いはまだしばらく続く。

                             2022.06.30

もう一つの参院選=SNS上の戦い(J-112)

前回のブログは、政党要件を満たしている既存政党についてしか述べていない。

新聞やTVが概ね対等に扱ってくれる、いわば表の参院選だ。

しかし、今回選挙がいつもと違うように感じられるのは、従来は「諸派」として「泡

沫」扱いされてきた政治団体が裏(SNS)で熱い戦いを繰り広げているからである。

若者の多くはSNSから情報をインプットしており、時代はこれらの政治団体を「泡沫」

として無視するわけにはいかなくなっている。

大手メディアが無視を決め込んでいる中で、毎日新聞は、6月22日の「風知草」(特別

編集委員山田孝男のコラム)で、そういった状況を“「参政党」現象”と題してこのよ

うな言い回しで触れた。

 

“知る人ぞ知る、知らぬ人は名さえ聞いたことがない政治団体について書く。(中略)

 過日、「サンセイトーってどうなんです?」と知人に聞かれ、「えっ?」と聞き返し

た。 知人は49歳で私は70歳。「ご存じないとはショックです」と知人は言い、私も驚

いた・・(略)”

実は私も「参政党」を知らなかったのだが、この記事を読んで一度これらの政治団体

ついて頭を整理してみようという気になった。中にはちょっと気になる団体もある。

先ずは目新しいところから・・・

参政党:

吹田市議の神谷宗幣(44)を中心に、“投票先がないなら自分たちで作ろう”と5人のメ

ンバーで2021年に立ち上げた。“誰かがやってくる時代は終わった”としてDIYを理念と

している。今回の選挙では、10の柱と3つの重点政策を掲げ、45選挙区のすべてと比例

区に5人を立てた。その中には元衆院議員で風見鶏のような松田学や中部大客員教授

武田邦彦先生もいてなかなか強力な布陣だ。

重点政策は、・教育・先人の知恵を生かしたSDGs・国の守り の3つだが、総じてグロ

ーバリズムへの抵抗感がみてとれる。

 

ごぼうの党:

会員制高級サロンなどを経営する奥野卓志(48)が立ち上げた。23日、都庁前で行われ

た初の街頭演説では、法被姿に天狗の面に白髪のかつらをつけて登場し、「この選挙を

祭りとして楽しめるような運動をしていく」「政治を花火のようにしたい」と訴えた。

20分程度のスピーチの後は、若者たちの「よさこいソーラン」風のダンスとなった。

お面にダンスはかつてオウムがやったパフォーマンスで印象が悪いが、有名芸能人やア

スリートたちの応援もあって、SNS上ではかなりの勢いがある。

“一番大切なものは「笑顔」であり、コロナ対策はその笑顔を奪った”と訴えるところと

合わせると、コロナが生んだ政治団体と見ることもできる。

ただ、一部には、立憲と参政の票を割らせようとする”自民の別動隊“であると指摘する

者もいる。

以下はお馴染みの団体である。

くにもり:

元々は「日本の敵とは徹底的に戦う集団=国守衆」という集団があり、「我らこそが自

民が立党宣言をした時代の魂を受け継ぐ嫡流である」と宣言していた。その政治家分野

が「新党くにもり」であるという。今回選挙には比例に党代表の本間奈々を立てている

が、彼女は早大から自治省に入り、その後わが春日井市の副市長を務め、札幌市長選に

も立候補したことが在るという元気な女性だ。

 

幸福実現党

宗教法人「幸福の科学」(総裁:大川隆法)を母体とするもはやお馴染みの団体だ。

勢いは下降気味であり、昨年には国政選挙から撤退する意思を表明したが、今回また党

首を比例に立てている。

 

日本第一:

ヘイトスピーチ橋下徹市長とのバトルで知られた桜井誠の団体であるが、未だに国・

地方共に議員はゼロ、自身も中核派青年との援助交際スキャンダルで元気はない。

 

新風:

魚谷哲夫(74)が1995年に設立した。

「あらゆるレイシズムに反対する」といいながら、「韓国との国交断絶」を主張するな

ど矛盾するところもあるが、一貫しているのは「戦後体制への不満」である。2009年ご

ろをピークに党員も減少し続けている。

 

以上を総括してみると、これらの政治団体の中に学生運動から派生した団体はいない、

全体的に反グローバリズムの傾向が見られ、右か左で言えば自民よりさらに右に立って

いるようにも見える。このことは自民がそれほど右に偏ってはいないことの証明である

ともいえよう。

ただ一つ、「参政党」だけは他とは違うところがある。

「自尊史観の教育」とか、「日本版SDGs」とか、「外国勢力が関与できない体制」だ

とかナショナリズム的な香りがプンプンしていても、演説を聞けば「れいわ」や「N

党」よりも穏やかで、国際試合で日本を応援するときと同じような気分にさせられる。

私は今回この党が1議席と政党要件の2%を獲得するのではないかとみているが、政治

家本来の務めはリーダーシップにあると考えるので、本気でメッセンジャー的な姿勢を

貫くつもりだとすれば、少々物足りない。しかし、存在意義はありそうで、今後伸びて

いくポテンシャルがある。

SNS上の熱い戦いに比べ、いまのところ表の戦いは冷ややかである。

一足も二足も早い梅雨明けと猛暑の所為だけでもあるまいが・・・。

であれば、自ずから限界がある。

 

 

参院選を色眼鏡で見る(J-111 )

第26回参院選が6月22日に公示され、7月10日の投開票に向けて18日間の戦いが始まっ

た。前国会における立憲民主党内閣不信任決議案が不発に終わったこともあって、

いささか盛り上がりに欠けるが、いつもと様子がちがうような気もする。立候補者数が

やたらと多いのである。その訳はN党と“諸派”という言葉で束ねられた新党が大量の候

補者を立てているからだ。

争う議席は、非改選の欠員補充1を含めて125議席、候補者にとってはいつもより厳し

く、有権者にとっては読みにくい選挙となっている。

自民は勝敗ラインを与党の過半数としており、随分控えめな目標である。公明も現状維

持で良しとするが、立憲は1,2議席減に留まれば御の字レベルで苦戦は必至の様相だ。

共産、国民、れいわも大幅増は難しく、社民に至っては断末魔の叫びが聞こえてくる。

そんな中で「維新」ただ一党が大幅増を目論んでいる。

ここで各党が何を訴えているのか、それぞれのスローガンを並べてみよう

 自民 : われらこそが責任政党

 公明 : 安心を届け 希望をつくる

 立憲 : 岸田インフレと闘う

 維新 : 野党第1党となり自民をピリッとさせる

 共産 : 憲法を生かした平和外交

 国民 : 給料を上げる 日本を護る

 れいわ: 消費税廃止

 N党 : NHKをぶっ壊す

 社民 : 党存亡の危機

 

これらを、私の色眼鏡を通して解釈すればこんな風になる。

与党(自民・公明)の主張を一言で言えば、“他よりはまし” である。

振り返ってみれば、与党はずっとこれを続けている。“あの悪夢のような民主党政権

ということばをことあるごとに繰り返し、今もまた、コロナ被害も物価高も”他よりは

まし“で片づけようとしている。

公明はブレーキ役であると自ら宣言している。それが改革を阻害し、日本の長い停滞に

結び付いている。”安心を届ける”とは”ぬるま湯の心地よさを提供する”ということだ。

これにはまるとそこから抜け出すのは容易ではない。

 

立憲:キャッチフレーズは“岸田インフレと闘う”である。なにかにつけて強引なこじつ

けやレッテル張りが好きな集団だが、どこが岸田インフレなのかなんだかピントがずれ

ている。あの悪夢のような民主党が掲げた”コンクリートから人へ“は、それなりに説得

力があったが、今はちゃっかりと他党にパクられている。つまり立憲はあの時何が欠け

ていたのか、どこが悪かったのかを自身が”総括“できないまま分裂し名を変えた。

今はまた共産との共闘路線について総括ができないままだ。

 

維新:“野党第1党になり自民をピリッとさせる”というのが“売り”である。

考えようによっては有権者を小ばかにしたようなスローガンだが。“地に足がついてい

る”という見方も成り立つ。公約を見ても、この党は絵に描いた餅を並べるのではな

く、どうやって餅をつくるかという”手段“について語っている。日本が生まれ変わるた

めには”既得権益”にメスを入れる必要があり、選挙のためだけに組んでいるような自公

よりも自維の組み合わせがよさそうにも思う。

 

共産:自らの綱領に縛られ”硬直化“している。合法・非合法を問わず、政権与党への道

はありそうにない。”化石“化を防ぐためには、政権の見張り役に徹し、不正行為や腐

敗・汚職・を暴くことのみを使命とすれば、一定の支持を得て生き延びられるだろう。

 

国民:その前身はともかく、いつも“まとも”なことを云う。“時代遅れになった制度を変

える”という主張は、はいつの時代も政治家にとっての第一の使命であり、しがらみを

捨てて揃って自民に入党するのが一番良さそうなのだが・・・。

 

れいわ:党首の行動がなんとも不可解である。障碍者当人を国会に送り込むなんて虐待

もいいとこだ。なぜ衆議院議員を辞職して参院に立候補するのか、その訳を聞かされて

も理解できない。自信満々の語り口には詐欺師の匂いがする・・。

言い過ぎた・・ごめんなさい。

 

N党:“NHKをぶっ壊す”だけで候補者を乱立させるその魂胆がわからない。せめて“既得

権益をぶっ壊す”くらいでないと・・。狙いは得票率2%以上で政党助成金獲得か。

そんなビジネスはぶっ壊されるだろう。

 

社民:党存亡の危機…?・・・知るか!

 

さて今回の参院選、一見どうでもいいような選挙に見えるが、実は極めて重要な意味を

秘めている。それは改憲勢力が2/3以上の議席を占めるかどうかであり、そこが本当

の勝敗ラインなのである。つまり4党で248☓2/3=166議席以上が目標だ。

非改選の勢力は自民55、公明14、維新9、国民5で、合計83議席だから、これと全く同数

の83を獲得できれば、造反者がいなければ2/3を確保できることになる。だから岸田

総理は与党で過半数などと余裕を示しているのである。

予想では維新が議席を伸ばすと見られているので、おそらく2/3以上は固い。

実は現行の選挙制度の下では、参院において2/3以上を単独で占めることは極めて難

しい。その条件が今満たされようとしているのである。自民は結党時の誓いを思い起こ

し、覚悟を決めて「憲法改正」に取り掛かって欲しい。

そうでなければ、岸田総理のあだ名は「ゆ~だけ番長」よりも不名誉な「やるやる詐欺

の男」になり下がるだろう。

                         2022.06.26

 

 

いささか品のない物言いとなったが、それは色眼鏡の所為ということでお許しあれ。

もう少し長生きしてみたい理由(J-110)

世に言う”新聞離れ“は自分の中でも進行中だが、今も必ず目を通す欄がある。

毎日新聞の川柳欄である。投稿者は年配の人が多いらしく、(…だよな)と思わず膝を

打つことがしばしばである。

無断で紹介させていただくが、6.11の岡良氏の次の句もその一つだ。

  “夢だった未来はとうに通り過ぎ”

正しくその通りで、いつお迎えが来ても文句はないのだが、もう少し生きてみたいと思

うこともある。その理由は、例えば次のようなことである。

 

さしあたり、あと1年ほど長生きすれば・・・

いま世界を悩ませている新型コロナとウクライナ戦争が収まるだろう。完全決着とはい

かないかもしれないが、おそらくコロナは風邪と同等になり、ウクライナは停戦合意に

たどり着く公算が高い。浮き彫りになった日本の医療システムの問題点とプーチン

“その後”を見てみたい。

 

2年ほど生きれば・・・

日韓関係に劇的な変化が訪れる可能性がある。

6.1に行われた韓国の統一地方選挙で、尹新政権与党が圧勝した。主要17の知事・市長選

で12勝、その他の地区でも6割以上の議席を占めた。とくに、ソウル市の25区では前回

18年の1勝24敗から17勝へと激変した。当選者の中には、かつて行き過ぎた反日教育

実態を暴露して処分された高校生が含まれている。未だ彼は20歳の若者だが、韓国では

被選挙権がある。

しかしながら、国会は相変わらず野に落ちた「共に民主党」が議席の2/3を占めてい

る。大統領選を僅差で敗れた李在明は、同時に行われた国会議員補選で当選し、8月の

党代表選に出馬して命懸けで尹政権に対抗する構えだ。

新大統領としても、野党優勢の国会と根深い反日感情を無視してやみくもに関係改善を

図るわけにもいくまい。つまるところ、新大統領が手腕を発揮できるかどうかは、2024

年4月の総選挙にかかっている。そこまでを耐えて選挙に勝てば、文在寅が成立させた

悪法の撤廃や、一連の前政権の犯罪を裁くことができるだろう。

日韓関係がギクシャクする原因は主として韓国側の国内事情にある。しかし、ここまで

悪化したのは、日本側がこれまでの態度を変えたからでもある。平たく言えば、仏の顔

も三度とばかりに”腹に据えかねて”突き放したからだ。

具体的には、「慰安婦合意の破棄」と「レーダー照射事件」の影響が大きい。

しかし、日本が本気で怒って見せたことで、若者を中心に韓国内にも真実を知ろうとす

る動きが広がりつつあるようにも思う。

いずれにせよ、好き嫌いは別にして、韓国が中国に取り込まれる事態だけは防がねばな

らない。日本にとっての朝鮮半島は、ロシアにとってのウクライナ以上の存在だ。

 

3年ほど生きれば・・・

大谷翔平が何かどえらいことを見せてくれそうな予感がする。

例えば投手部門と打者部門のタイトルを同時獲得するとか、ノーヒットノーランの試合

を自身の決勝ホームランで勝つとか、漫画家でさえ躊躇するようなそんな”奇跡“を見せ

てくれるかもしれない。勿論それは3年以内でなくてもよい。むしろそんな期待を抱

かせ続けて長く活躍してくれれば、こちらも元気が出る。

 

5年長生きすれば・・・

初めての憲法改正が実現するかもしれない。できることなら、一度は国民投票という奴

をしてみたいものだとも思う。

直ちに改正すべきだと思っているのは第27条である。その次が9条だ。

第27条は”まな板”に乗っていないようだが、次の通りである。

“すべて国民は勤労の権利を有し、義務を負う

 2 賃金、就業時間、休息、その他の勤労条件に関する基準は法律でこれを定める。

 3 児童はこれを酷使してはならない。”

ここに言う”すべて国民“には条件がない。文字通りすべての国民が対象である。

わざわざ”児童“にまで言及しているとおり、子供も含まれている。

“国家には、働く意思のある国民に仕事を与える責任がある”というのならわかる。

しかし、全ての国民に勤労の”義務“があるというのはどうだろうか。

この条文は、私を含め何千万人もの国民を“憲法違反者”にしているということになる。

 

実は、この思想のルーツは新約聖書

 He who does not work, neither shall he eat.   だという説がある。

これをレーニンが演説で引用し、1918年のいわゆるレーニン憲法に次のごとく取り入れた。

“労働を共和国の全ての市民の義務であると認め、働かないものは食うことができない

というスローガンを掲げる”(18条)

その後1936年に改定されたスターリン憲法でも

“労働は「働かざるものは食うべからず」の原則によって労働能力のあるすべての市民

の義務であり名誉である”

として残されている。いかにも共産党らしい条文である。

日本国憲法でどういう検討がなされたのかは定かでないが、最初の草案にはなかった条

文らしい。そのあたり、起草メンバーの中には共産主義思想の持ち主がいたという説の

根拠ともなっている。

この条文は大袈裟に言えば”非人道的“でもある。

ソ連でさえ1977年のブレジネフ憲法では、

ソビエト人の幸福の源は搾取のないソビエト人民の労働である”(14条)

のように修正されている。

私は、日本国憲法のこの第27条が放置されたままであることが不思議でならない。

 

10年長生きすれば・・・

生命誕生の謎が解明されるかもしれない。

46億年前、生まれたばかりの地球はどろどろの火の玉状態だったと考えられている。

やがてその表面が冷却されたとしても、水はどこから来たのか、生命はどのようにして

生まれたのかは分かっていない。隕石の分析から、それらは宇宙由来であるというのが

有力な仮説ではあったが、隕石は地球到達後に変化した可能性を否定できない。

ところが2020年12月、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウ」の試料を携えて帰還し、

その分析結果の一部がようやく今月公表された。

驚いたことに、試料には大量の「水」が含まれており、23種類のアミノ酸など生命体の

材料に使われる様々な有機物や化合物が検出されたという。

さらに、2023年にはNASAの「オシリス・レックス」が小惑星ベンヌ」のサンプルを

持ち帰る予定であり、「はやぶさ2」はカプセルを届けた後も次の目標(1998KY26 )

に向かって飛び続けている。目標到着は2031年7月の予定だ。

地球最大の謎解きは終盤に差し掛かっている。理解できるかどうかは分からないが、出

来れば知りたい

 

20年長生きすれば・・・

中国の衰退を見ることになるかもしれない。

別に中国に恨みがあるわけではないが、このまま拡大し続けられては迷惑だ。

まるで「セイタカアワダチソウ」のごとく”蔓延り過ぎた嫌われ者“になっている。

セイタカアワダチソウ」は、明治期に園芸品種として持ち込まれたらしいが、全国的

に広がったのはWWⅡ以降米軍の物資に紛れ込んだのがきっかけだ。この嫌われ者は、

周囲の植物の成長を抑制する化学物質「アレロパシー」を有しており、我が物顔に蔓延

るわけだが、自身の種子の発芽をも阻害するためやがて衰え始める。

中国の人口は2035年ごろまでにピークを迎えると予想されている。インドに抜かれるの

はそれ以前というか間もなくである。中国にとっての問題は、日本より急激な超高齢化

社会に突入することだ。建国100年を迎える2049年ごろには、約5億人が高齢者で、その

うちの2億人は要介護者になるとの予想だ。これではもはや高成長は続けられない。

富裕層は国外脱出を図るかもしれないし、一足先に高齢社会を経験した日本の助けが必

要になるかもしれない。もしかするといくつかの国に分裂するかもしれないが、驚く

ことはない。これまでの歴史を繰り返すだけのことだ。

だからまあ、これはそこまで生きて見届けたいというほどのものでもない。

                              2022.06.15

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「電子計算機使用詐欺」って何?

 

何ともお粗末な事件である。取り上げるのもアホらしいとは思うのだが、ある意味現代

日本の縮図のようにも感じられるので、遅ればせながらこれに噛みついてみたい。

発端は、「新型コロナウイルス対策臨時特別給付金」の事務処理における単純なミスである。

先月(4月)8日、山口県阿武町の担当者が、該当者463名に対する10万円の給付手続き

を行ったが、その際何を勘違いしたのか、それとは別に全額分の4630万円を一人に振り

込むというミスを犯してしまった。100万程度の引き出しや振り込みでもチェックが入

る昨今、この作業がすんなり行われたことに「?」も付くが、その結果として一人の若

者(T)に合わせて4640万円が振り込まれてしまった。銀行側からの指摘によりミスに

気付いた同町はTに事情を説明し、Tは返還手続き(組み戻し)に同意した。ところが、

Tは銀行まで市職員に同行したもののその場で翻意し、その後給付金のほぼ全額を10日

間のうちに使用または移送したうえ、「金はすべて使った、罪は償う」と開き直った。

大騒動のなか、ようやく5.18になって県警がTを逮捕し、5.24には大部分の約4300万円を

確保したと阿武町が発表した。

“やれやれ”というところだが、一件落着どころか実はそれでは収まらない。

4300万円は決済サービス代行業者が黙って町に振り込んだものであり、なんだか不透明

かつ不気味でもある。騒ぎはしばらく続くだろう。

ここまでの経緯を少し詳しく見てみよう。

4.08 阿武町が4630万円を誤給付したことを確認

     Tの自宅を訪問、銀行に同行するもTは手続きを拒否しこの日は時間切れ

     夕刻、町は銀行に対しTに払い戻しをしないよう依頼する公文書を発送

 同日  Tが早くもデビット決済で約68万円使用

4.10 Tから町に弁護士と相談する旨の電話

4.11~12 Tに連絡が取れない状態が続く

4.12 町はホームページでTの住所氏名を公表

     町長が「このようなことが起きるとは夢にも思わなかった」とコメント

4.14 Tの母親と副町長がTの勤務先で面会するが物別れ

4.15 Tの弁護士から「返還手続きの日時が決まったら連絡する」と通知

4.10~18 30数回にわたってほぼ全額を出金(他口座などに振り込み)

4.21 Tが町職員に「金は動かしたもう戻せない、罪は償う」などと発言。

5.12 町が全額返済を求め提訴

5.18 山口県警が「電子計算機使用詐欺容疑」でT(田口翔、24歳)を逮捕

5.24 町が約4300万円を確保したと発表

 

以上の通りであるが、ツッコミどころ満載だ。

先ずは「新型コロナ対策臨時特別給付金」そのものについてである。

第1回目の一律給付が“バラマキ”と批判されたこともあり、今回は給付対象者を「令和3

年度の住民税非課税世帯」とした。つまり令和2年の年収が概ね100万円以下の世帯が対

象である。令和3年以降月収が同等レベルに減った世帯は申請しても良いことになって

いるが、逆に増収したケースは何もせずとも支給対象となる。まさに今回の田口容疑者

がそれだ。

彼はホームセンターの正社員であり(事件発生後退職)約20数万円の月収があった。

だから本来は支給対象外のはずである。こんなケースはおそらく山ほどある。日本は極

端に個人情報が保護されているので、行政側にとっても国民個々の懐具合は霧の中であ

る。果たして本当に困っている人に届いているかとなると疑問符が付く。

一時はアクセスが集中して繋がらなかった阿武町のホームページをみると、同町の世帯

数はわずか1528である。人口3000人足らずの過疎の町だ。そのうち給付対象者が463世

帯、なんと1/3が該当するというわけだ。

このような過疎の町が貧困にあえいでいるかというと案外そうでもない。収入は少なく

ても穏やかに暮らしている。福祉もそれなりに充実している。

町長は「こんなことが起きるとは夢にも思わなかった」と言い、「油断があったかもし

れない」と反省の弁を述べた。が、同時にミスをした担当者をかばう発言もあった。

つまり、少々意地悪な解釈をすれば、“ちょっとしたミスがこんなことになると・・”と

いう感覚なのだ。とにかく、すべてが穏やかで平和なのである。

この事件は、皆がのんびり構えている中で、一人だけフルパワーで頭を働かせている奴

がいたことによって思わぬ方向に発展した、日本ならではの事件だとも言えよう。

しかしながら、4.21にTが金はもう戻せないと開き直ってからの町の動きは素早くかつ強

力であった。まず、税金滞納者の財産を調査する名目で帳簿類を検査できるとする国税

法の規定を強引に(?)適用して銀行の情報を入手し、金の流れを突き止めた。これに

より、オンライン決済代行業者が自身に調査の手が及んでくるのを恐れ(?)、関係す

る3社が揃って約4300万円を町の口座に振り込んだ。その金は業者の”立て替え”かも知

れず、真相は不明のままだが、とりあえず町は約9割を取り戻したことになる。

 

次は逮捕容疑となった「電子計算機使用詐欺」についてである。

この罪名は1987年に「詐欺罪」の一つとして新たに加えられたものだ。

元々は「他人のクレジットカード情報を使って通販サイトで買い物をする」といったよ

うな人が介在しない(つまり誰も騙されない)犯罪が頻発したために作られたと言われ

ている。このネーミングのセンスの無さには恐れ入るが、どうも今回の事件にこの罪名

はマッチしていないような気がしてならない。

刑法の条文(刑法46条の2)は次の通りだ。

 前条(従来の詐欺罪)に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機

 に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の

 電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の

 事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、

 十年以下の懲役に処する。

素人目にはこの条文は、「この罪はコンピューターに虚偽の情報を入力したり、不正に

利用したりして不法の利益を得る行為」と読めるので、Tの行為がこれに該当すると言

われても何だかすっきりしない。Tは最初に町職員が訪問した時点で、誤振り込みであ

ることを認識し「組み戻し」手続きにも応じようとしていたのであるから、8日にデビ

ット決済があった時点で「横領罪」が成立し、直ちに逮捕もありえたのではないかとい

う素朴な疑問が残る。

 

次に、何故このようなミスが起きたのかである。

給付金の手続きは、すべての自治体にとって初めての事務処理ではなく、すでに経験済

みの作業である。当然ながら“どうして?”という疑問が湧く。

実は阿武町の担当者はベテランの女性職員の異動により新人職員に替わっていた。

そして、データのやり取りには何とフロッピーディスクが使われていた。銀行側の意向

らしいが、今の若者にはなじみがない代物である。おそらく銀行側の担当者もそうであ

ろう。事件は田舎町のそういった環境と偶然の下で発生したともいえるだろう。

 

最後に今後への影響がある。騒ぎはこのままでは終わりそうにない。

決済サービス代行業者が、ストックされていたとみられる4300万円をあっさりと返金し

てきたことで、オンラインカジノに対する懸念は拡大・増幅した。

日本で認められているのは公営ギャンブルだけである。しかし日本人が海外のカジノで

ギャンブルに興じても逮捕されることはない。では、Tが誤給付金を使ったというオン

ラインカジノはどういうことになるのだろうか。これが合法か違法かについては、実は

はっきりしていない。というか、オンラインカジノをやったからと言って逮捕されるこ

とはない。但しそれが外国政府のライセンスを受けたものでなければ違法となる。例え

ば、インターネットカフェ・カジノなどは違法である。

観光立国を目指す日本は、2016年12月「総合型リゾート(IR)整備推進法案」、(通称

カジノ法案)を成立させた。当初は2020東京オリンピックに合わせてオープンとも言わ

れていたが、新型コロナの影響もあって活動が中断された状態になっている。しかし、

すでに「IR推進法」、「IR推進本部設置」、「IR整備法」、「ギャンブル等依存症対策

基本法」、「カジノ管理委員会発足」と段階は進み、2020.12には「IR設置の基本方針」

が策定されている。あとは「候補地の正式決定」、「IR事業者の選定」を経て「開発・

開業」の運びとなる予定だ。最も有力な候補地は大坂、長崎ではないかと予想されてい

るが、ターゲットは海外富裕層なので日本人に対しては、7~8000円の入場料と入場制

限回数(週3回、月10回)がある。

ところが、オンラインカジノについては現時点では何も方針が示されていない。「カジ

ノ」と「オンラインカジノ」は全くの別物で、IR域内とオンラインでは影響の度合いが

大きく異なる。日本ではオンラインカジノへのハードルは相当高いと考えられ、実現す

るとしてもだいぶん先のことになると予想されるが、それまでの間、外国のオンライン

カジノを何らかの形で制限することができなければ”甘い汁“を吸われ続けることになる。

今回の事件は、オンラインカジノがすでに想像以上に広がっている可能性を示してお

り、実態の把握と対策の必要性を示唆するものだ。

                        2022.05.26

 

日本核武装論は暴論か(Y-40)

プーチンの演説から

5月9日、モスクワの赤の広場では恒例の「対独戦勝記念式典」が挙行されました。

しかし例年とは違って、観覧席に外国要人の姿はなく、規模も縮小されていました。

無法なウクライナ侵攻で、世界から非難を浴びながらもこの式典を強行したのは、内外

に余裕を示す必要があったのでしょうが、今回の特別軍事作戦の失敗をカモフラージュ

しようとする意図をも感じさせるものでした。

それがどうであれ、世界の注目はプーチンが何を語るかの一点にに集中していました。

”この日にプーチンは「勝利宣言」をするつもりだ”というのが1か月ほど前までの見方で

したが、予想外のウクライナの奮闘が続き、最近では”「戦争宣言」をして総動員体制

に移行するのでは”との見方が主流となっていました。

しかしプーチンは、この軍事行動を正当化するいわば”言い訳“に終始しました。

「戦争宣言」は必要なかったのでしょうか、そうではなく、”出来なかった”というの

が真実ではないでしょうか。さすがのプーチンも、ほぼ独断専行の軍事作戦に対して総

動員をかけるわけにはいかないだろうと思うのです。

それが何を意味するのかと言えば、”泥沼化“つまり”長期化“です。下手すると、この戦

争はプーチンが失脚するまで継続するかもしれません。

今回の露軍のウクライナ侵攻は、世界にこれまでにない衝撃を与えています。

それは、本来「通常戦」にも歯止めをかけるはずの「核」に、真逆の働きがあることを

知らされたからです。つまり、「核」を持つ国は、その気になれば持たない国を侵略で

きるということが示されたのです。

その核を持つ国のリーダーが「独裁者」であるほど、より危険度が高いことは誰でも想

像でき、現実にそういう国が存在していたことが“衝撃”なのです。

日本にとって、ウクライナの悲劇は決して他人事ではありません。周辺には、ならず者

とまでは言わないけれど「世界の無法三兄弟」ともいうべき中・露・朝が海を挟んで対

峙しています。流石の平和ボケ国家もようやく「このままでは・・」と考え始めたよう

な気配は感じられますが、未だ本格的な議論には至っていません。

現在持ち上がっているテーマを絞り込むと、一つは「防衛予算の増額」であり、もう一

つは「専守防衛の見直し」ということになるでしょうか。具体的には、「防衛予算の

GDP比2%(以上)への増額」と「敵基地攻撃能力の保有」が焦点です。

しかしその議論は、いずれも従来の思考からすこしも抜け出せていません。

GDPの何%などと外枠を決めて陸・海・空の予算分捕り合戦をやらせるのは、政治家や

官僚がそれが文民統制だと誤解しているからであり、本来の議論から外れています。

防衛費を世界と比較して、あたかも交際費のように扱うがゆえに、”戦闘機1機削れば幼

稚園がいくつ”といった的外れの議論が持ち上がるのです。かつて日本人は「安全と水

はタダだと思っている」と言われましたが、意識が変化したのは「水」だけです。

また、「敵基地攻撃」は意志の問題であって装備の問題ではありません。これまで、装

備そのものに無用な制約ををかけ、著しく抑止効果を損ねてきた歴史は大いに反省しな

ければなりません。

 

文芸春秋の特集記事から

そんな中、文芸春秋5月号は、”緊急特集「ウクライナ戦争と核」”と題して8人の識者の

論文を掲載しました。

しかし「核」に絡んだ論文は、「日本核武装のすすめ」(エマニュエル・トッド)、

「核共有の議論から逃げるな」(安倍晋三)、「核の選択・清水幾太郎を読み直す」

片山杜秀)の3編で、他は「核」については語られていません。

だからこの特集は、最初から「ウクライナ戦争と核」というテーマで企画したものでは

なさそうです。特集の内容は、タイトルほど「核」中心の議論にはなっていません。

最初に登場するエマニュエル・トッドの「日本核武装のすすめ」も、背表紙に赤文字で

紹介され、本文の題もそうなっているので、いかにも日本の核武装を主題とした論文の

ような装いですが、中味はそれほどでもありません。

本人が“自国フランスでは冷静な議論が許されない(袋叩き似合う)ので初めて日本の

メディアに自分の見解を公にした”と最初に断わっているとおり、「戦争の責任は米国

NATOにある」という独自の見解をまとめたものです。日本の核武装については最後

に触れられていますが、論文全体から言えば10分の1程度です。

とは言いながら、賛同しかねる前半のロシア擁護論とは違って、付け足しのような日本

核武装論の方にはかなりの説得力があります。

エマニュエル・トッドはこの論文の中で、“核の保有はパワーゲームの埒外に自らを置

くことを可能にする”ことで、それは“国家として自律することである“と主張します。

そして、”「核共有」という概念は完全にナンセンスであり、「核の傘」も幻想だ”と断

定します。なぜなら“使用すれば自国も核攻撃を受けるリスクのある核兵器は、原理的

に他国のためには使えないからだ”というわけです。

そして、この説はおそらく正しいのです、残念ながら。我が身を核保有国の立場に置き

換えてみれば、やはりそうならざるを得ないではありませんか。多くの国民もその判断

を指導者に期待するはずです。やはり、「核」は他国のためには使えないのです。

 

日本の選択

日本では、“唯一の核被爆国”という言葉がまるで枕詞のごとくに使われます。

だから?という問いには、“だから核兵器の非人道性を世界に訴え、核禁止運動の先頭

に立たねばならない”という答えが返ってきます。

何のために?と問えば、”世界から核兵器を失くすためですよ、当たり前でしょう”

と呆れ顔をされます。

どうやって?と聞けば、”だから最初に言ったでしょう日本が禁止運動の先頭に・・”

と元に戻ります。・・・それでいいのでしょうか。

核兵器禁止運動と言えば、国連の核兵器禁止条約の批准国が50か国に達し、2021年1月

に発効となりました。これによって締約国は、核兵器の開発や保有、使用などの全てが

禁止されています。締約国は、その後も徐々に増加してはいますが、影響力を持つには

至っていません。核保有国はもとより主要国のほとんどが”無視“しているからです。

日本も同様です。

現実的に見れば、この条約は核保有国の特権的地位を保証し非保有国の権利を奪うとい

うある意味差別的な条約とも考えられます。失礼ながら、締約国のほとんどは、核を持

つ能力のない国々に留まっているのです。核保有国にしてみれば、締約国の拡大は大い

に歓迎するが自身がその輪に入ることはないというわけで、この運動が実を結ぶことは

望めそうにありません。

ならば、唯一の被爆国日本はどうすればよいのでしょうか。

歴史を遡って、なぜ日本に原爆が落とされたのかを考えてみましょう。決定的な条件は

当時原爆を持っていたのがアメリカ唯一であったということに尽きるでしょう。もし日

本も持っていたと仮定すれば、戦争そのものが避けられたのではないでしょうか。

安全保障上の抑止力には、拒否的抑止と懲罰的抑止があり、安倍元総理はこの特集の中

で”日本は懲罰的抑止の全てをアメリカに依存している”と述べています。”全て”という

ところには不満がありますが、元総理が言うのだから日本の方針はそうなのでしょう。

しかし、拒否的抑止はいわば“虫よけスプレー”のようなものですから、“倍返し”的な懲

罰的抑止ほどの効果はありません。だから、抑止力の根幹となっているのは「日米同

盟」だというわけです。同盟こそが抑止力だというわけです。

ところが「核」には、単独でも最大の抑止力になり得る力があります。見方によって

は、小国が大国と対等な場に立てる「究極の防御兵器」であるとも言えるでしょう。

現に北朝鮮がそれを証明しています。

勿論、核兵器などない方がいいに決まっています。しかしその実現のためには、例えば

強力な国連軍のような実力組織が必要です。丁度国内における警察のような役割を果た

す国際的組織がなければ、人は安心して丸腰になることができません。

安倍元総理は、「核共有の議論から逃げるな」のなかで、“日本は「作らず、持たず、

持ち込ませず」に加えて、「言わせず、考えさせず」まである非核五原則だ”という故

中川昭一議員の言葉を紹介しています。日本がまず考えるべきことは、世界の前に日本

が再び核の被害に遭わないための方策です。そのために最も有効な手段が「核の保有

であることに議論の余地はありません。4~5隻の核搭載原潜を持つだけで日本の抑止

力は格段に向上するでしょう。アメリカはそれを望まないかもしれませんが、核の傘

より確実なものとするためにも、その意思があることを表明すべきです。

しかし、たとえ頭では理解しても、日本が一気に核保有に向かうことは無理だろうと思

います。ならばどうするか。それは海上兵力の増強です。日本を攻めるには海を渡らな

ければなりません。最終的には着上陸侵攻によってどこかを占領し屈服させることが必

要です。それをさせないために何が一番効果的でしょうか。最も効果があると思われる

戦略はおそらく米空母を日本近海―出来れば日本海ーに存在させることでしょう。

だから、日本の海上兵力は米空母を護る能力に集中させる。そのくらいの覚悟を決めな

ければ、アメリカの懲罰的抑止力を確かなものにはできないのではないでしょうか。

もう一つは、在日米軍基地の存在です。日本を攻めることはアメリカに刃を向けること

であると相手に認識させなければなりません。

”自分の国は自分で守るという強い意志がなければ誰も助けてくれない”という言葉をよ

く聞かされます。しかし、ウクライナの現実はどうでしょう。助けてくれると言っても

武器などの支援と経済制裁だけではありませんか。ウクライナはロシアを攻撃できませ

ん。自国に侵入したロシア軍と戦うだけです。核を持たない国が核を持つ国に攻められ

た場合はあのような戦いを余儀なくされるのです。悲惨です。

しかし日本は自らそのような戦いしかしないと宣言し、実際にそのような戦力装備をし

ているわけです。”もし攻められてもあなたの領土に対する攻撃は致しません、どうぞ

試してみてください”と言っているようなものです。本当にそれでいいのでしょうか。

どんなに想像を膨らませてみても、日本に対して武力を行使するかもしれない国は先に

述べた三つの国しかありません。そしてその三国はいずれも「核」を保有しています。

日本の安全保障は「核」抜きには語れないのです。

ところが、エマニュエル・トッドが”「ロシア擁護論」は自分の国では発表できない”と

語ったように、日本では「核」を語ることがタブーになっています。だから、エマニュ

エル・トッドや40年前の清水幾太郎を引っ張り出すしかないというのが日本の言論界の

実情なのです。

日本が本気で核廃絶の先頭に立とうというのなら、まずは核保有国の仲間に加わり、

次いで国連の安全保障常任理事国入りを果たし、国連軍の常設を実現する、といった大

胆な発想が現実主義者の中から聞こえてきてもおかしくはないと思うのですが、そんな

意見は”核アレルギー状態の現状では、”暴論”の一言で片づけられること必定です。

さはさりながら、今回のウクライナ侵攻が、あたかも”黒船来航”のようなインパクトを

日本に与えたことは間違いなく、その影響が建設的な防衛論議に発展することは十分期

待できます。

日本人にとって悩ましい問題の一つに”花粉アレルギー”がありますが、「核アレルギ

ー」はそれ以上に悩ましい問題です。今回は、本来語るべき人たちが口をつむぐ「核」

について、素人の強みと無責任さを武器に勝手気ままな意見をのべてみましたが、これ

をテーマに議論する気も能力も私にはありません。ただ、アレルギーからの脱却には、

まず自由に語ることが必要だと考えるだけです。

とりあえず10年後を見てみたい気がしますが、生きていますかね。

                          2022.05.15

 

 

憲法記念日の失望と希望(J-108)

5月3日憲法記念日の朝のこと、郵便受けに共産党の”チラシ“が投入されていた。

明らかに夏の参院選に向けた活動とみられ、”フライング“の感もするのだが、タイトル

は”ロシアは侵略戦争やめよ“となっている。その中味は、この機会にロシアを非難し、

共産党に対する負のイメージを払拭したいという意図がありありの内容だ。

要約すれば、“安保条約、自衛隊社会主義などについては、国民の意思により変えて

ゆく、日本共産党は現行憲法全条項を守る立場なので天皇制も当然守る。労働時間を大

幅に短縮させ、その自由時間を使ってそれぞれの個性や潜在的な能力を最大限発揮でき

る社会を目指す”といったところだ。

一見”みんなの党“的表現だが、よく読めば矛盾だらけ、詐欺師的文言である。

仮に政権与党の座に就いたならば、天皇制は国民の総意でないからと言って廃止に向け

た動きをするだろうし、また個人の能力や個性は、むしろ労働(仕事)において最大に

発揮されるのが民主主義の世界なのだから、そもそも労働に対する感覚が古いままだ。

何よりも、近年は憲法改正を望む国民の方が多数を占めるようになっているのだから、

何事も国民の意思により決めてゆくというのなら、改憲論議お断りという態度を改め、

憲法改正の発議をすることこそ国会議員の責務であることを再認識する必要がある。

 

憲法改正の賛否を問う世論調査は毎年行われているが、実は今年の調査には例年以上の

関心を抱いていた。言うまでもなく、ロシアのウクライナ侵攻が国民の意識を大きく変

えたのではないかと期待していたからである。ところが、実際にはあまり大きな変化は

起きなかったというのが実態だ。

細かいデータは省略するが、その数値は調査機関によって相当の開きがある。

ここ数年間の調査結果は、大まかに言えば、読売、産経、共同では憲法改正に賛成が50

~60%、反対が40%前後であるのに対し、朝日、NHKは30~40%で両者が拮抗

し、毎日はその中間と言ったところで落ち着いている。

しかしながら、今年の朝日とNHKのデータには注目すべきポイントがあると思われるの

で、そこに焦点を当ててみたい。 数値は%で()内は昨年の値である。

 

       憲法改正に 賛成   反対   9条改正に賛成   反対

   朝日    56(45) 37(44)  33(30) 59(61)

   NHK      35(33) 19(20)  31(28) 30(32)

 

NHKは電話調査なのでその影響があると思われるが、この5年間数値はほぼ変化せず、

常に“どちらでもない”が40%を超えている。NHKは他の調査と大きな乖離があること

について、自分たちの調査方法に疑問を持つべきであるのだが、不遜にも都合のいい専

門家を引っ張り出し、“改正への流れができるのではと懸念したがデータを見る限り国

民は冷静だという印象を受ける”(東大石川健治教授)などとコメントさせているから

たちが悪い。

また、朝日の調査結果は今回改正賛成が反対を大きく上回り劇的に変化した。朝日は、

その理由として女性の賛成票が増えたことを挙げている。 一方9条改正については、

相変わらず6割程度を改正反対派が占め、他社の調査と大きく異なる。

朝日の調査には、いわゆる”バイアス“がかかっていると見るべきかと思うが、いずれに

せよ、今年の憲法改正に関する世論調査結果は、全体として見れば従来と大きな変化は

なく、私の希望的予想とはかなりの開きがあった。

 

ロシアのウクライナ侵攻は「核を持つ国が核を持たない国を侵略した時、それを止めら

れるものがいない」という現実を国際社会に突き付けている。そして我が日本は、厄介

な三つの核保有国と問題を抱えながら対峙している。ウクライナは決して他人事ではな

いのである。

しかるに衆院憲法審査会で野党側の筆頭幹事を務める立民の奥野議員は「ウクライナ

問題をダシにして改憲に突き進もうとする与党の姿勢を許すわけにはいかない、ロシア

より許せないのが今の自民党だ」といい、志位共産党委員長は「日本がやるべきことは

敵基地攻撃能力ではなく東アジアを戦争のない平和な地域にすること」だという。

この人たちはウクライナに「日本国憲法をプレゼントしよう」というつもりなのか。

憲法改正に関する世論調査結果から“国民の意識はあまり変わっていない”と結論付けた

憲法学者やメディアは、それを“国民は冷静だ”と持ち上げる。

本当にそうなのだろうか。ただ能天気なだけか平和ボケなのではないか。

その想いが表題の憲法記念日の「失望」の部分である。

 

では何が「希望」なのかといえば、意外に思うかもしれないが朝日の調査にある。

朝日の調査には、「今夏の参院選で与党と憲法改正に前向きな勢力が3分の2以上の議席

を占めた方が良いと思うか」という問いがある。実はこれに対する回答で、改憲勢力

2/3以上を占めた方が良いが44%で、占めない方が良いの35%を大きく上回った。

朝日は前回の参院選前(2019年)の調査では、44対46で占めない方が良いが多かった

と残念そうに伝えているが、朝日の調査にしてこの数値なら実態はそれ以上かもしれ

ない。NHKの調査でどちらとも言えないと態度を明らかにしなかった4割を占める人た

ちの本心は、もしかすると改憲賛成派が多いのではないかとも思われ、そこに「希望の

光」を感じたのである。

                           2022.05.06