戦争あり、地震ありで、内外共に喫緊の要事を抱える中で、岸田内閣の支持率低下が下
げ止まらない。
発端は裏金問題だが、それ自体は岸田内閣の責任に帰する問題ではない。国民は岸田首
相のリーダーシップの無さに失望しているのである。
それにしても2月19日に発表された毎日新聞の世論調査結果には驚かされた。
タイトルには「内閣不支持上昇82%」「自民支持16%」の文字が掲げられ、“不支持率
は内閣支持率の調査を始めた1947年7月以降最高だった”と記事は語る。
“最悪”と言わず、“最高”と書いたところがなんとなく愉快気でもあるが、世の空気感か
らすれば“さもありなん”というところだ。しかし、立憲民主の支持率も自民と同じく
16%であると言われると、「ちょっと待ってくれ」と言いたくなる。これまで立憲の支
持率が自民の支持率低下に呼応して急上昇するようなことはなかったのである。
今回の調査結果が信頼できるとすれば、あの社会党土井たか子の”山が動いた“に匹敵す
る画期的な出来事だ。しかし、なぜか記事は立民の”躍進“については触れていない。
そこで、ほぼ同時期に他のメディアなどが行った調査結果を調べてみると、次の通りで
あることが分かった。
調査機関 内閣支持 内閣不支持 自民支持 立憲支持
毎日 14 % 82% 16% 16%
読売 24 61 24 5
朝日 21 65 21 7
産経 22.4 24.8
NHK 25 58 30.5 6.7
時事通信 16.9 60.4 16.3 4.1
これを見れば一目瞭然、毎日のデータは“特異”と言わざるを得ない。とくに立憲の支持
率は突出している。ばらつきの範囲を著しく超えていると言わざるを得ない。
ここで、似たようなことがあったことを思い出した。調べてみたら確かにあった。
「どこかズレてる毎日の世論調査」(J-63)という題で、2021.5.5に当ブログで発信し
ている。この時は菅内閣の調査であったが、やはり毎日新聞のデータのみがかけ離れて
おり、私は“毎日新聞から委託されってその調査を行った「社会調査センター」に問題
があるのではないか”と書いている。そして今回の調査を行ったのも同じ会社である。
毎回“特異な”調査結果を出す調査会社を使い続けるということは、そこに親密な関係が
あることを窺わせるものであり、調査方法などに問題があった場合の”尻尾キリ“として
設けた子会社なのかと勘繰りたくもなる。
繰り返すが、調査結果はばらつきの範囲を超えている。調査対象の選出に偏りがなく
、その結果に対する信頼度に自信があるのであれば、毎日新聞はなぜ他の機関と大きな
差異が生じているのかを説明する責任がある。逆に、調査方法などに何らかの欠陥があ
るとすれば、それを示して読者に謝罪する必要があるのではないだろうか。
2024.2.23