世に言う”新聞離れ“は自分の中でも進行中だが、今も必ず目を通す欄がある。
毎日新聞の川柳欄である。投稿者は年配の人が多いらしく、(…だよな)と思わず膝を
打つことがしばしばである。
無断で紹介させていただくが、6.11の岡良氏の次の句もその一つだ。
“夢だった未来はとうに通り過ぎ”
正しくその通りで、いつお迎えが来ても文句はないのだが、もう少し生きてみたいと思
うこともある。その理由は、例えば次のようなことである。
さしあたり、あと1年ほど長生きすれば・・・
いま世界を悩ませている新型コロナとウクライナ戦争が収まるだろう。完全決着とはい
かないかもしれないが、おそらくコロナは風邪と同等になり、ウクライナは停戦合意に
たどり着く公算が高い。浮き彫りになった日本の医療システムの問題点とプーチンの
“その後”を見てみたい。
2年ほど生きれば・・・
日韓関係に劇的な変化が訪れる可能性がある。
6.1に行われた韓国の統一地方選挙で、尹新政権与党が圧勝した。主要17の知事・市長選
で12勝、その他の地区でも6割以上の議席を占めた。とくに、ソウル市の25区では前回
18年の1勝24敗から17勝へと激変した。当選者の中には、かつて行き過ぎた反日教育の
実態を暴露して処分された高校生が含まれている。未だ彼は20歳の若者だが、韓国では
被選挙権がある。
しかしながら、国会は相変わらず野に落ちた「共に民主党」が議席の2/3を占めてい
る。大統領選を僅差で敗れた李在明は、同時に行われた国会議員補選で当選し、8月の
党代表選に出馬して命懸けで尹政権に対抗する構えだ。
新大統領としても、野党優勢の国会と根深い反日感情を無視してやみくもに関係改善を
図るわけにもいくまい。つまるところ、新大統領が手腕を発揮できるかどうかは、2024
年4月の総選挙にかかっている。そこまでを耐えて選挙に勝てば、文在寅が成立させた
悪法の撤廃や、一連の前政権の犯罪を裁くことができるだろう。
日韓関係がギクシャクする原因は主として韓国側の国内事情にある。しかし、ここまで
悪化したのは、日本側がこれまでの態度を変えたからでもある。平たく言えば、仏の顔
も三度とばかりに”腹に据えかねて”突き放したからだ。
具体的には、「慰安婦合意の破棄」と「レーダー照射事件」の影響が大きい。
しかし、日本が本気で怒って見せたことで、若者を中心に韓国内にも真実を知ろうとす
る動きが広がりつつあるようにも思う。
いずれにせよ、好き嫌いは別にして、韓国が中国に取り込まれる事態だけは防がねばな
らない。日本にとっての朝鮮半島は、ロシアにとってのウクライナ以上の存在だ。
3年ほど生きれば・・・
大谷翔平が何かどえらいことを見せてくれそうな予感がする。
例えば投手部門と打者部門のタイトルを同時獲得するとか、ノーヒットノーランの試合
を自身の決勝ホームランで勝つとか、漫画家でさえ躊躇するようなそんな”奇跡“を見せ
てくれるかもしれない。勿論それは3年以内でなくてもよい。むしろそんな期待を抱
かせ続けて長く活躍してくれれば、こちらも元気が出る。
5年長生きすれば・・・
初めての憲法改正が実現するかもしれない。できることなら、一度は国民投票という奴
をしてみたいものだとも思う。
直ちに改正すべきだと思っているのは第27条である。その次が9条だ。
第27条は”まな板”に乗っていないようだが、次の通りである。
“すべて国民は勤労の権利を有し、義務を負う
2 賃金、就業時間、休息、その他の勤労条件に関する基準は法律でこれを定める。
3 児童はこれを酷使してはならない。”
ここに言う”すべて国民“には条件がない。文字通りすべての国民が対象である。
わざわざ”児童“にまで言及しているとおり、子供も含まれている。
“国家には、働く意思のある国民に仕事を与える責任がある”というのならわかる。
しかし、全ての国民に勤労の”義務“があるというのはどうだろうか。
この条文は、私を含め何千万人もの国民を“憲法違反者”にしているということになる。
実は、この思想のルーツは新約聖書の
He who does not work, neither shall he eat. だという説がある。
これをレーニンが演説で引用し、1918年のいわゆるレーニン憲法に次のごとく取り入れた。
“労働を共和国の全ての市民の義務であると認め、働かないものは食うことができない
というスローガンを掲げる”(18条)
“労働は「働かざるものは食うべからず」の原則によって労働能力のあるすべての市民
の義務であり名誉である”
として残されている。いかにも共産党らしい条文である。
日本国憲法でどういう検討がなされたのかは定かでないが、最初の草案にはなかった条
文らしい。そのあたり、起草メンバーの中には共産主義思想の持ち主がいたという説の
根拠ともなっている。
この条文は大袈裟に言えば”非人道的“でもある。
“ソビエト人の幸福の源は搾取のないソビエト人民の労働である”(14条)
のように修正されている。
私は、日本国憲法のこの第27条が放置されたままであることが不思議でならない。
10年長生きすれば・・・
生命誕生の謎が解明されるかもしれない。
46億年前、生まれたばかりの地球はどろどろの火の玉状態だったと考えられている。
やがてその表面が冷却されたとしても、水はどこから来たのか、生命はどのようにして
生まれたのかは分かっていない。隕石の分析から、それらは宇宙由来であるというのが
有力な仮説ではあったが、隕石は地球到達後に変化した可能性を否定できない。
ところが2020年12月、「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の試料を携えて帰還し、
その分析結果の一部がようやく今月公表された。
驚いたことに、試料には大量の「水」が含まれており、23種類のアミノ酸など生命体の
材料に使われる様々な有機物や化合物が検出されたという。
さらに、2023年にはNASAの「オシリス・レックス」が小惑星「ベンヌ」のサンプルを
持ち帰る予定であり、「はやぶさ2」はカプセルを届けた後も次の目標(1998KY26 )
に向かって飛び続けている。目標到着は2031年7月の予定だ。
地球最大の謎解きは終盤に差し掛かっている。理解できるかどうかは分からないが、出
来れば知りたい
20年長生きすれば・・・
中国の衰退を見ることになるかもしれない。
別に中国に恨みがあるわけではないが、このまま拡大し続けられては迷惑だ。
まるで「セイタカアワダチソウ」のごとく”蔓延り過ぎた嫌われ者“になっている。
「セイタカアワダチソウ」は、明治期に園芸品種として持ち込まれたらしいが、全国的
に広がったのはWWⅡ以降米軍の物資に紛れ込んだのがきっかけだ。この嫌われ者は、
周囲の植物の成長を抑制する化学物質「アレロパシー」を有しており、我が物顔に蔓延
るわけだが、自身の種子の発芽をも阻害するためやがて衰え始める。
中国の人口は2035年ごろまでにピークを迎えると予想されている。インドに抜かれるの
はそれ以前というか間もなくである。中国にとっての問題は、日本より急激な超高齢化
社会に突入することだ。建国100年を迎える2049年ごろには、約5億人が高齢者で、その
うちの2億人は要介護者になるとの予想だ。これではもはや高成長は続けられない。
富裕層は国外脱出を図るかもしれないし、一足先に高齢社会を経験した日本の助けが必
要になるかもしれない。もしかするといくつかの国に分裂するかもしれないが、驚く
ことはない。これまでの歴史を繰り返すだけのことだ。
だからまあ、これはそこまで生きて見届けたいというほどのものでもない。
2022.06.15