樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

参院選を色眼鏡で見る(J-111 )

第26回参院選が6月22日に公示され、7月10日の投開票に向けて18日間の戦いが始まっ

た。前国会における立憲民主党内閣不信任決議案が不発に終わったこともあって、

いささか盛り上がりに欠けるが、いつもと様子がちがうような気もする。立候補者数が

やたらと多いのである。その訳はN党と“諸派”という言葉で束ねられた新党が大量の候

補者を立てているからだ。

争う議席は、非改選の欠員補充1を含めて125議席、候補者にとってはいつもより厳し

く、有権者にとっては読みにくい選挙となっている。

自民は勝敗ラインを与党の過半数としており、随分控えめな目標である。公明も現状維

持で良しとするが、立憲は1,2議席減に留まれば御の字レベルで苦戦は必至の様相だ。

共産、国民、れいわも大幅増は難しく、社民に至っては断末魔の叫びが聞こえてくる。

そんな中で「維新」ただ一党が大幅増を目論んでいる。

ここで各党が何を訴えているのか、それぞれのスローガンを並べてみよう

 自民 : われらこそが責任政党

 公明 : 安心を届け 希望をつくる

 立憲 : 岸田インフレと闘う

 維新 : 野党第1党となり自民をピリッとさせる

 共産 : 憲法を生かした平和外交

 国民 : 給料を上げる 日本を護る

 れいわ: 消費税廃止

 N党 : NHKをぶっ壊す

 社民 : 党存亡の危機

 

これらを、私の色眼鏡を通して解釈すればこんな風になる。

与党(自民・公明)の主張を一言で言えば、“他よりはまし” である。

振り返ってみれば、与党はずっとこれを続けている。“あの悪夢のような民主党政権

ということばをことあるごとに繰り返し、今もまた、コロナ被害も物価高も”他よりは

まし“で片づけようとしている。

公明はブレーキ役であると自ら宣言している。それが改革を阻害し、日本の長い停滞に

結び付いている。”安心を届ける”とは”ぬるま湯の心地よさを提供する”ということだ。

これにはまるとそこから抜け出すのは容易ではない。

 

立憲:キャッチフレーズは“岸田インフレと闘う”である。なにかにつけて強引なこじつ

けやレッテル張りが好きな集団だが、どこが岸田インフレなのかなんだかピントがずれ

ている。あの悪夢のような民主党が掲げた”コンクリートから人へ“は、それなりに説得

力があったが、今はちゃっかりと他党にパクられている。つまり立憲はあの時何が欠け

ていたのか、どこが悪かったのかを自身が”総括“できないまま分裂し名を変えた。

今はまた共産との共闘路線について総括ができないままだ。

 

維新:“野党第1党になり自民をピリッとさせる”というのが“売り”である。

考えようによっては有権者を小ばかにしたようなスローガンだが。“地に足がついてい

る”という見方も成り立つ。公約を見ても、この党は絵に描いた餅を並べるのではな

く、どうやって餅をつくるかという”手段“について語っている。日本が生まれ変わるた

めには”既得権益”にメスを入れる必要があり、選挙のためだけに組んでいるような自公

よりも自維の組み合わせがよさそうにも思う。

 

共産:自らの綱領に縛られ”硬直化“している。合法・非合法を問わず、政権与党への道

はありそうにない。”化石“化を防ぐためには、政権の見張り役に徹し、不正行為や腐

敗・汚職・を暴くことのみを使命とすれば、一定の支持を得て生き延びられるだろう。

 

国民:その前身はともかく、いつも“まとも”なことを云う。“時代遅れになった制度を変

える”という主張は、はいつの時代も政治家にとっての第一の使命であり、しがらみを

捨てて揃って自民に入党するのが一番良さそうなのだが・・・。

 

れいわ:党首の行動がなんとも不可解である。障碍者当人を国会に送り込むなんて虐待

もいいとこだ。なぜ衆議院議員を辞職して参院に立候補するのか、その訳を聞かされて

も理解できない。自信満々の語り口には詐欺師の匂いがする・・。

言い過ぎた・・ごめんなさい。

 

N党:“NHKをぶっ壊す”だけで候補者を乱立させるその魂胆がわからない。せめて“既得

権益をぶっ壊す”くらいでないと・・。狙いは得票率2%以上で政党助成金獲得か。

そんなビジネスはぶっ壊されるだろう。

 

社民:党存亡の危機…?・・・知るか!

 

さて今回の参院選、一見どうでもいいような選挙に見えるが、実は極めて重要な意味を

秘めている。それは改憲勢力が2/3以上の議席を占めるかどうかであり、そこが本当

の勝敗ラインなのである。つまり4党で248☓2/3=166議席以上が目標だ。

非改選の勢力は自民55、公明14、維新9、国民5で、合計83議席だから、これと全く同数

の83を獲得できれば、造反者がいなければ2/3を確保できることになる。だから岸田

総理は与党で過半数などと余裕を示しているのである。

予想では維新が議席を伸ばすと見られているので、おそらく2/3以上は固い。

実は現行の選挙制度の下では、参院において2/3以上を単独で占めることは極めて難

しい。その条件が今満たされようとしているのである。自民は結党時の誓いを思い起こ

し、覚悟を決めて「憲法改正」に取り掛かって欲しい。

そうでなければ、岸田総理のあだ名は「ゆ~だけ番長」よりも不名誉な「やるやる詐欺

の男」になり下がるだろう。

                         2022.06.26

 

 

いささか品のない物言いとなったが、それは色眼鏡の所為ということでお許しあれ。