樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

糖尿病の話(Y-24)

 

明日1114日の夜、世界中の著名な建造物や公園などの一部が、ブルーの照明で

ライトアップされるはずです。例えば、エンパイヤステートビル、ナイアガラの滝

オペラハウス、日本なら東京タワーや錦帯橋などです。

もう10年以上続いている割には知られていませんが、この日は2006年に国連が定

めた「世界糖尿病デー」で、そのキャンペーンに用いられるシンボルマークの色が

ブルーなのです。日本では1114日を含む1週間が「全国糖尿病週間」とされて

いますので、既にライトアップされているところもあろうかと思います。中には、

出雲大社のように、新型コロナを考慮して日程を非公開としたところもあります。

何故1114日が選ばれたかと言えば、インスリンを発見したカナダのフレデリック

・バンティング博士の誕生日だからだということです。

 

世界の糖尿病人口は46300万人ともいわれ、2045年には7億人にも達するのでは

ないかと予想されています。実は日本は比較的糖尿病患者の多い国で、約2000万人

つまり6人に一人が糖尿病かもしくはその予備軍ではないかと言われているのです。

ある資料によると、糖尿病患者の平均死亡年齢は、男:68.0歳、女71.6歳で、平均

すれば男は9.6歳、女は13.0歳短命となるそうですから、ことは重大です。

ところが、ほとんど自覚症状がないままに進行してゆくため、軽く見られている

のも事実です。

 

実はこの樗木も、医師からは糖尿病だと判定され、毎日薬を飲んでいます。今の

ところ自覚症状はありませんが、母が糖尿病で70代で亡くなっており、またこの

病が、多分に遺伝的要素に依存しているらしいので、我が係累のためにも、この

病について触れておく必要があると考え樗木の遺言に書き加えるものです。

 

糖尿病という名称は、尿に糖が混じるということですが、それは血液中の糖が多

すぎて腎臓が処理(再吸収)しきれず、老廃物とともに尿として排出されている

ことを示しています。

体内では、血中のグルコースブドウ糖)が全身の細胞に取り込まれ、エネルギー

源として使われています。そして血中の濃度は、ホルモンの働きにより一定の濃度

に保たれています。

もし低血糖になった場合は、その段階に応じて、グルコガン、アドレナリン、成長

ホルモン・コルチゾールが働いて血糖値を上げ、逆に高血糖になった場合は、

インスリンの働きによって、余分な糖は肝臓・筋肉・脂肪組織に蓄えられ、血糖値

が下げられます。

ざっくり言えば、低血糖の方が命にとってより緊急性が高いので、4重の対応策を

備えているのでしょう。高血糖の方は緊急性は低いものの、その対応策がインスリン

しかないということで、このインスリンが重要なカギとなっています。

インスリンの機能が不十分になると、糖の濃度は高いままとなり、この糖と血管内皮

のタンパク質が結合(糖化反応)して体中の微小血管が徐々に破壊され、三大合併症

(神経障害・網膜症・腎症)をはじめアルツハイマー歯周病など多岐にわたる症状を

引き起こすと考えられています。つまり細い血管が集中する器官がやられるわけです。

 

糖尿病はインスリンの分泌がほとんどないⅠ型とその機能が十分でないⅡ型に分かれ

その9割以上がⅡ型です。Ⅱ型はまたインスリン感受性低下(インスリンを与えても

血糖値が下がりにくいタイプ)とインスリン分泌量低下の二つに分けられます。

前者は太った糖尿病ともいわれ欧米人に多く、後者はやせた糖尿病とも言われ、

日本人はこのタイプが多いようです。

 

色々考えてみると、糖尿病というのは不思議な病気です。

世界の平均寿命は戦争やパンデミックなどの影響を除けば、一貫して伸びています。

一方で、糖尿病患者も増え続けているのです。もし糖尿病が遺伝によるものならば

生きる上で不利な糖尿病一族は減少するはずなのに増えているのです。

ならばやはり生活習慣が原因かというと、同じ生活習慣の人がみな同じ結果になる

ということでもありません。おそらく、遺伝と生活習慣の両者が合わさって発症する

野でしょう。また、糖尿病が完治したので、もう何も気にする必要はないということ

にもならないのです。

いわば、糖尿病は病気というよりは「体質」のようなもので、合併症を引き起こさない

ように、血糖値を気にしながらずうっと付き合っていくしかないのです。

 

合併症予防のための尺度としては、血糖値とHbA1c(血中の糖化されたヘモグロビン)

が使われます。

血糖値というのは、血液中のブドウ糖の濃度をmg/Lで表した数値で、血液を採取

したときの状態を示し、空腹時で110以下が正常とされています。

HbA1c は過去12か月の平均濃度を%で表したもので、最近はこちらの方が重視され

ています。なぜそのようなデータが得られるのかというと、血液中のブドウ糖は赤血球

と結合していますが、赤血球の寿命が4か月と短く、糖化生成物の半減期240日で

あることからわかるのだそうです。

合併症予防のためには、

・薬なし、食事と運動で達成可能な場合はHbA1cの値が 6.0未満

・薬を併用する場合は                7.0未満

低血糖の症状が出る場合は             8.0未満

程度にコントロールするのが望ましいとされています。

しかし、樗木の経験から言うと、この目安も個人差があるように思います。

糖尿病と診断された当初は、何とかHbA1cの値を6.0以下にしようと、かなり

努力していましたが、そのころは時々“立ち眩み”などの症状があって、あまり

いい状態ではありませんでした。

その後薬をもらうようになってからは、食事もあまり気にせず、運動も軽めに

して、7.07.5のあたりを維持していますが、体調としてはこのあたりが

いちばんいいのです。もともと(50歳ごろから)、尿糖が出やすく、血糖値も

105110の間くらいで高めだったので、私の正常範囲は普通よりも高めにある

のではないかと考えています。現在ゆっくりめのスクワットがいいというので

試しているところですが、著しい改善が認められたならば別途・・・。

                          2020.1113