取材活動に制約があるのか、新聞・テレビのニュースがショボい。
ところが、記事や番組の内容は、むしろ充実している。
特集記事やアーカイブスのおかげなのだが、それは、
ほとんど役に立たず、真偽さえ定かでない、いわばジャンクのような
情報の洪水に流されてきた日常を反省する、いい機会でもある。
新型コロナウィルスに関する情報もそうで、
ずいぶん、まともになってきたようにも思う。
その一つが、毎日新聞3人の記者による「新型コロナのミステリー」、
「日本死者数なぜ少ない」という特集記事だ。
この記事は、“なぜ日本はうまくいっているのか”
という“世界の不思議”に対する中間報告のようなものだが、
まず、「人口当たりの死者数」で比較検討しているところが
”まとも”である。
また、うまくいっているのは日本だけでなく、「東南アジアなのである」
という分析も正しい。
そして、その要因(いわゆるファクターX)として、
これまでに挙げられてきた仮説を次のように分類し紹介している。
仮説①:肥満率
日本・東南アジアは肥満率が低い、しかしオーストラリア
の肥満率は欧米並みだが死亡率は低い=決め手にならない
生活習慣
日本人にはマスク手洗いなどの習慣が根付いている。
(当初マスクは予防に効果はないというのが通説で、中国の
買い漁りを冷笑していたが、それなら「花粉症」に予防効果
がありはしないかと冗談半分に3.11の当ブログに書いた通り、
マスクはかなりの効果があるはずだが決め手ではない)
仮説②:遺伝子
日本人特有の遺伝子があるのではないかという研究が慶応大
東京医歯大などで行われている。しかしインドやオーストラリア
に死者が少ないことなどから決め手にはならない。
(むしろ、欧米人に弱い遺伝子があるのかもしれない)
BCG
WHO,イスラエルが関連を否定している。
いずれにせよ仮説②にも決め手がない。
仮説③:交差免疫
過去に似たウィルスに感染したことで一種の免疫を獲得
しているのではないかという説。
東大先端科学研究センター、米・ラホイヤ免疫研究所などが
その可能性を指摘。
京大上久保教授は、早い時期に病原性の弱いタイプが入ってきて
その免疫が新型にも働いたという仮説を主張。
以上の通り、これまでに発せられた“ファクターX”は、
おそらく網羅されていると思うが、
いずれの仮説も“決め手”となる証拠がないのが現状だ。
もし、”日本人特有の・・・“ があるとすれば、
それはいくつかの”ファクターX”が複合要因として働いた
“ファクターXes” である可能性が高いと私は思う。
2020.06.15