樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

”ファクターXes” なのか?(J-26)

取材活動に制約があるのか、新聞・テレビのニュースがショボい。

ところが、記事や番組の内容は、むしろ充実している。

特集記事やアーカイブスのおかげなのだが、それは、

ほとんど役に立たず、真偽さえ定かでない、いわばジャンクのような

情報の洪水に流されてきた日常を反省する、いい機会でもある。

 

新型コロナウィルスに関する情報もそうで、

ずいぶん、まともになってきたようにも思う。

その一つが、毎日新聞3人の記者による「新型コロナのミステリー」、

「日本死者数なぜ少ない」という特集記事だ。

この記事は、“なぜ日本はうまくいっているのか”

という“世界の不思議”に対する中間報告のようなものだが、

まず、「人口当たりの死者数」で比較検討しているところが

”まとも”である。

また、うまくいっているのは日本だけでなく、「東南アジアなのである」

という分析も正しい。

そして、その要因(いわゆるファクターX)として、

これまでに挙げられてきた仮説を次のように分類し紹介している。

仮説①:肥満率

    日本・東南アジアは肥満率が低い、しかしオーストラリア

    の肥満率は欧米並みだが死亡率は低い=決め手にならない

    生活習慣

    日本人にはマスク手洗いなどの習慣が根付いている。

    (当初マスクは予防に効果はないというのが通説で、中国の

    買い漁りを冷笑していたが、それなら「花粉症」に予防効果

    がありはしないかと冗談半分に3.11の当ブログに書いた通り、

    マスクはかなりの効果があるはずだが決め手ではない)

仮説②:遺伝子

    日本人特有の遺伝子があるのではないかという研究が慶応大

    東京医歯大などで行われている。しかしインドやオーストラリア

    に死者が少ないことなどから決め手にはならない。

     (むしろ、欧米人に弱い遺伝子があるのかもしれない)

              BCG

       WHO,イスラエルが関連を否定している。

               いずれにせよ仮説②にも決め手がない。

仮説③:交差免疫

    過去に似たウィルスに感染したことで一種の免疫を獲得

    しているのではないかという説。

    東大先端科学研究センター、米・ラホイヤ免疫研究所などが

    その可能性を指摘。

    京大上久保教授は、早い時期に病原性の弱いタイプが入ってきて

    その免疫が新型にも働いたという仮説を主張。   

    

以上の通り、これまでに発せられた“ファクターX”は、

おそらく網羅されていると思うが、

いずれの仮説も“決め手”となる証拠がないのが現状だ。

もし、”日本人特有の・・・“ があるとすれば、

それはいくつかの”ファクターX”が複合要因として働いた

“ファクターXes” である可能性が高いと私は思う。

                         2020.06.15