樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

こだわるテレ朝Mショーに噛みついてみる (J-12)

遂にというか、やはりというべきか、

なんと今朝(4.16)のテレ朝モーニングショーは、

ノーベル賞受賞者本庶佑先生を”みこし”に乗せて、

またもや PCR検査拡大の必要性を訴えた。

出来る限りPCR検査を拡大して無症状の感染者を摘出し

隔離する必要があるというのである。

レギュラーコメンテーターの玉川さんは、

「今も検査拡大は医療崩壊につながると言って反対する

人もいますが・・・」

と質問しながら”どや顔“である。どうやら、

先日の「もう終わった話云々」は本意ではなかったらしい。

 

確かに先生の話は、理想的ではある。

しかし、可能性、適合性、受容性すべての面で

やみくもに検査するのは、正しい方策とは言い難い。

理由は以下の通りだ。

 

まず可能性、それをできるかどうかについて考えてみる。

東京都の人口は約1200万人である。

どのような方法であれ、片っ端から検査をするとして、

一日当たり1万人では1200日、

それでは時間がかかり過ぎだと、10万人としても120日もかかる。

一人の検査員が100件/日としても1000人が120日間ということになる。

とても現実的とは言えない。

いやそこまではというなら、どこまでなのか、

その根拠を示すことができるのか?

無症状の人まで含めて、短期間でスクリーニングしようとするなら、

検便のように自分で採取して提出し、それを民間企業が

自動化された検査機器で判別するくらいなことでもやらない限り

不可能だ。勿論、今すぐにできるわけもない

 

次に適合性、その方策が目標に合致しているかどうかである。

前にも述べたように思うが、目標は感染者数を抑えることではなく、

あくまでも死亡者を少なくすることであるはずだ。

そのためには医療崩壊を起こさないことが絶対の条件だ。

現在のところ、日本の死亡数は人口比で見れば極端に少ない。

さらに、死亡数/感染者数で示される致死率においても、

優等生といわれるドイツや韓国よりも良好な数値を示している。

検査数を増やして、10倍は潜んでいるともいわれる隠れ感染者を

摘出すれば、致死率はさらに10倍ほどよくなるだろう。

しかし、無症状の感染者を見つけ出してもさほど意味がない。

むしろ、医療現場はますます混乱し、

その結果として、死亡者数は増加するに違いない。

しかも、その影響はコロナ患者以外にも波及するのだ。

従って、この方策には適合性がないと判断される。

 

最後に受容性、その方策が失敗に終わった場合の

リスク・損失に耐えられるかどうかであるが、

まずこの方策が成功に結び付きにくい理由をあげてみよう。

とりあえず、都民1200万人の中から1100万人を検査して

100人の感染者を検出し隔離したとする。

そうすると残りは1,100万人かというとそうはならない。

陰性であった人も、検査後に感染する可能性があるので、

再び残りの人数に加えざるを得ないのだ。

かくして残りは1199万9900人となる。

検査した人を陽性・陰性に分けてどちらも隔離しない限り、

残りの人数は陽性が判明した分しか減っていかない。

・・・行き詰まるのは目に見えている。

医療崩壊は時間の問題であり、その先には経済崩壊がちらついている。

暴動が起きてもおかしくない。リスクが大きすぎるのである。

本庶先生には誠に失礼だが、

パンデミック対策は、医療の問題ではなく、

セキュリティの問題なのである。

 

日常の中に、隠れ感染者が多数潜んでいることが確実視される中で、

死亡者を最小限度に抑える作戦も少々手入れが必要だ。

第一に、病院や各種施設等の「施設内感染」を徹底的に防ぐこと、

そして、元気な若・中年層に鎖をつけるようなやり方から、

高齢者、病弱者を檻に入れる方向への転換である。

そして、治療法なり、医療機関の余裕なりが見えてきたならば、

なるべく早い時点で社会活動・経済活動を再開すべきである。

 

ドイツや韓国の対応を称賛する人が言うように、

日本は法的にも技術的にも、パンデミック対処という点では、

遅れている部分が確かにある。

しかし残念ながら、それ等のことは次に生かすしかないものが多い。

また韓国の場合は、大邱とういう少し離れた250万都市の

ある宗教団体が引き起こしたメガクラスターという

封じ込め作戦には ”手ごろなスケール” であったといえなくもない。

それを選挙の勝利に生かした文在寅の手腕(悪運の強さ?)は、

ある意味見事であったと認めよう。

しかし、それをそのまま東京にあてはめるのも無理な気がする。

 

いずれにせよ、

死亡者数の極小化というもっとも重要な尺度において、

いまのところ日本は、最高の結果を維持しているのである。

自信をもって力を合わせ 前に進もうではないか。

                  202004.17