かれこれ一か月、ささやかな自粛を続けている。
誰も来ないし、パチンコにも行かない。
しかし、そんなことは、さほど苦にはならない。
辛いのはスポーツ中継がないことだ。
何せ、「今年はショーヘイ、しぶこ、Olympic」
と年賀状に書いたほど、大いなる期待をかけていたのだから、
本当にがっかりもいいところだ。
ところが、人間とは不思議なもので、
今ではすっかり慣れてしまって、
花の世話に散歩に読書、
そして焼酎を一杯飲んで、勢いに任せてブログを書くか、
でなければ映画を一本観る。
すっかりパターンが出来上がってしまっているのである。
振り返れば、こんな経験は何度かある。
最初は50年以上前のことで、
鼻の手術をして一か月ほど入院したときだった。
病院の朝は遅く、夜は早い。
約10時間の間に3回食事して、あとは食べない。
初めのうちは、夜中に腹がすいて眠れなくなる。
ところが、一週間もしないうちに慣れてくる。
薄味の食事がおいしくなり、10時にもならないうちに
眠れるようになる。
そのうち何やかや楽しみもできて、退屈することもなくなる。
そういえば、
森本哲郎が「ことばへの旅」でこんな言葉を取り上げている。
“人間は、いかなることにも慣れる動物である”
そしてこういうのである。
“私はどういうわけか「人間」という言葉を耳にすると、
きまって、ドストエフスキーのこのことばが胸に浮かぶ“と。
「いや、そうじゃないでしょう」と私は言いたい。
慣れるのは人間ばかりではないのだ。
他の動物も、植物も、生き物たちすべてにとって、
生きることとは慣れることと同意ではなかったか。
大都会の元気な若者たちの一部がシャッター街を抜け出して、
遠くの町まで出かけていったことなども影響したのか、
緊急事態宣言が全国に拡大された。
“我慢の限界?”
冗談を言っては困る。
人間は、少し我慢すれば、慣れてくるように出来ている。
子供らを観よ、彼らは遊びの天才だ。
棒切れ一つでも遊びを創造する柔軟さがある。
生きるためには慣れることが必要なのである。
2020.04.19