観るのをやめていたテレ朝モーニングショーを,
久しぶりに覗いてみて驚いた。
他局はもう出口戦略が主な話題となっているのに、
相変わらずの初動対処批判とPCR検査を増やせ
の一点張りなのである。
しかも今朝(5.7)は、いつもの岡田氏に加えて、強力な助っ人(?)
渋谷健司氏(WHO上級顧問)まで担ぎだして、
パネルには「国民全体にPCR検査を」の文字が躍っている。
たしかに、日本のPCR検査数は少なすぎるかもしれない。
医師が必要と認めた場合でさえ検査できないような状態が
頻繁にあるなら、それは即刻改善すべきではある。
とりあえず、番組が掲げたデータを見てみよう。
人口10万人当たりの検査数
イタリア 3159 ドイツ 3044
スペイン 2224 アメリカ 1752
韓国 1198 フランス 912
イギリス 883 日本 188
この表を棒グラフで示して、玉川氏は “日本は先進国と言えない”
と何度も聞いたセリフを繰り返す。
だからと言って、国民全体にPCR検査はないだろうと思う。
この人たちは頭がおかしいのだろうか。
玉川氏は、少なくとも1日10万件くらいは検査できるはずだと、
あたかも意図的に検査を少なくしているかのような口ぶりだ。
しかし、前にも言ったように、やみくもに検査数を増やしても
“労多くして功少なし”というものだ。
仮に世界最大ペースの1日20万件の検査をしたとしても、
番組が主張する国民全体を対象にすれば、
単純計算でも2年近くはかかる。
しかも、この計算は一度検査すれば最後の人が終わるまで
感染しないというありえない仮定をした場合にしか成立しない。
実際には、陰性と判定されても明日にも陽性になる可能性があるので、
厳密に言えば、陽性の人数分しか検査対象者が減っていかない。
だから、仮に1日1万人の陽性者を検出したとしても、12,600日、
約34.5年かかる。バカげている。
それでは、何もしないで集団免疫を待つことと変わらない。
もう一度上の表に戻って国名を見ていただきたい。
そもそも、ここに挙げられている国の多くは、
感染爆発を起こして多数の死亡者を出した、
いわばダメ国家の代表ではないか。
優等生扱いの独・韓も死亡数などで見れば、
日本と同等又はそれ以下で、
学ぶ対象なら、この表にない台湾とベトナムを挙げるべきだ。
つまりこの表は、「PCR検査の多い/少ないはさほど重要でない」
とも読むことができるのである。
一方、抗体検査の方は、実施が容易で、出口戦略として
極めて有効なデータがえられるはずなので、
今からは、こちらにシフトすべきかもしれない。
それにしても、一旦「終わった話」としたはずのPCR検査を、
再びこの番組が持ち出したのは、なぜだろうか。
おそらく、日本のデータを国際比較したとき、
明らかに劣っているのがPCR検査以外には見当たらないので、
その一点をしつこく追求しているのだろうと思われるが、
それが何のためかは、もう言う必要があるまい。
2020.05.07