樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

女子ゴルフ界に大型新星(J-118)

先週の「NEC軽井沢72」では昨年プロ入りしたばかりの岩井千怜(20)が初優勝し、

またまたニューヒロイン誕生に湧く女子ゴルフ界であるが、海の向こうから更なるビッ

グニュースが飛び込んできた。アマチュアゴルフの最高峰ともいうべき「全米女子アマ

選手権」で高2(17歳)の馬場咲希選手が見事優勝したのである。それも文句なしの圧

勝であった。

この大会は、男子と同じ1895年から毎年開催されて歴史が古く、そして最も過酷な大会

でもある。日本人としては、1985年に当時16歳の服部道子が優勝しているので、37年ぶ

りの快挙ということになる。

競技は最初の2日間でストロークプレーを行い、そこからは上位64名のマッチプレー

よるトーナメント戦となる。3日目に1回線、4日目には2回線と3回戦を戦い、5日目準々

決勝、6日目準決勝で、7日目の決勝戦は何と36ホールのマッチプレーである。つまり、

優勝するためにはトータル8ラウンドを戦わなければならない。「運」だけでは勝てな

い厳しい戦いだ。

馬場選手は、序盤2日間のストローク戦を73,74の34位でトーナメント戦に進み、1回戦

は最終ホールまで縺れたもののそれ以降は徐々に調子を上げ、危なげなく勝利して、準

決勝に進出した。

準決勝の相手は、ベイリー・シューメーカー(米、17歳)で最大の難敵かと思われた

が、馬場はショット・パット共に相手を圧倒し、7アンド6、つまり6ホールを残して勝

利した。

もう一組はカナダのモネ・チャンとアイルランドアナベル・ウィルソンという大学生

同士の戦いとなり、モネ・チャンが勝利した。

いよいよ最終日、17歳の高校生と21歳の大学生による日・加対決である。プロの世界で

も前日のプレーに出来すぎの感があると崩れるケースが良く見られるので、若い馬場選

手には一抹の不安がよぎったが、その心配は早々に消し飛んだ。彼女は前半の18ホール

で7アップと大きくリードし、2時間半の休憩後連続して2ホールを失ったものの、そこ

から怒涛の6ホール連取でなんと11アンド9、9ホールを残して圧勝してしまったので

ある。実力者が集う大会でこれほどの大差がつくのは極めて異例のことで、120年以上

の歴史の中でも3番目にあたる成績だという。

私自身は、準決勝と決勝の模様をスポーツチャンネルの録画再放送で視聴したわけだ

が、リンクスに似た風景、狭くて起伏に富むフェアウェイ、傾斜が大きいグリーン、見

るからに意地悪気な難コースでの戦いは見ごたえ十分であった。とくに、マッチプレー

の面白さが十分に伝わった。現在プロの戦いはストロークプレーが主流なのだが、それ

は、人気選手が早々と姿を消すことがあるマッチプレーではTVの視聴率が取れないから

ということらしい。しかし、ゴルフはマッチプレーの方が見るのもするのも断然面白

い。そして公平でもある。ゴルフは自然環境に大きく影響されるので、同組でなければ

常に不公平感が付きまとう。また、マッチプレーは相手を見ながら1ホールごとの戦い

になるので、戦い方が違ってくる。できればプロの大会でも、マッチプレーを増やして

ほしいし、願わくばメジャーの一つは全米アマと同じ方式でやって欲しい。

話を戻そう。

馬場選手は、この勝利で来年の全米オープン全英オープンの出場資格を得た。

また、24日からフランスで開催される「世界女児アマチーム選手権」には、橋本美月、

上田澪空選手とチームを組んで出場する。この大会では、3人のうち上位2人のスコアを

積み上げる4日間の戦いとなる。この大会も注目だ。

 

馬場選手は現在17歳、日本ウェルネス高等学校の2年生である。この高校は通信制

単位制を取っており、ゴルフ部の生徒たちは皆プロを目指している。東京5輪「銀」

の稲見萌寧もここの出身である。

馬場選手はすらりと伸びた175㎝の長身で、MLBの大谷選手のように体格にも恵まれて

いる。その体格を利した世界トップクラスの飛距離、高い弾道のアイアンショットに加

え、思い切りのいいパット、キャディーとのコミュニケーション、何よりも物おじしな

い性格と上昇志向等々メンタル面でも大物になる資質を兼ね備えているように見える。

来年はプロテストを受けるそうだが、この伸び盛りの大型新星に熱い視線が注がれてい

る。2,3年後が楽しみである。

                    2022.08.19