樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

女子ゴルフ界に大型新星(J-118)

先週の「NEC軽井沢72」では昨年プロ入りしたばかりの岩井千怜(20)が初優勝し、

またまたニューヒロイン誕生に湧く女子ゴルフ界であるが、海の向こうから更なるビッ

グニュースが飛び込んできた。アマチュアゴルフの最高峰ともいうべき「全米女子アマ

選手権」で高2(17歳)の馬場咲希選手が見事優勝したのである。それも文句なしの圧

勝であった。

この大会は、男子と同じ1895年から毎年開催されて歴史が古く、そして最も過酷な大会

でもある。日本人としては、1985年に当時16歳の服部道子が優勝しているので、37年ぶ

りの快挙ということになる。

競技は最初の2日間でストロークプレーを行い、そこからは上位64名のマッチプレー

よるトーナメント戦となる。3日目に1回線、4日目には2回線と3回戦を戦い、5日目準々

決勝、6日目準決勝で、7日目の決勝戦は何と36ホールのマッチプレーである。つまり、

優勝するためにはトータル8ラウンドを戦わなければならない。「運」だけでは勝てな

い厳しい戦いだ。

馬場選手は、序盤2日間のストローク戦を73,74の34位でトーナメント戦に進み、1回戦

は最終ホールまで縺れたもののそれ以降は徐々に調子を上げ、危なげなく勝利して、準

決勝に進出した。

準決勝の相手は、ベイリー・シューメーカー(米、17歳)で最大の難敵かと思われた

が、馬場はショット・パット共に相手を圧倒し、7アンド6、つまり6ホールを残して勝

利した。

もう一組はカナダのモネ・チャンとアイルランドアナベル・ウィルソンという大学生

同士の戦いとなり、モネ・チャンが勝利した。

いよいよ最終日、17歳の高校生と21歳の大学生による日・加対決である。プロの世界で

も前日のプレーに出来すぎの感があると崩れるケースが良く見られるので、若い馬場選

手には一抹の不安がよぎったが、その心配は早々に消し飛んだ。彼女は前半の18ホール

で7アップと大きくリードし、2時間半の休憩後連続して2ホールを失ったものの、そこ

から怒涛の6ホール連取でなんと11アンド9、9ホールを残して圧勝してしまったので

ある。実力者が集う大会でこれほどの大差がつくのは極めて異例のことで、120年以上

の歴史の中でも3番目にあたる成績だという。

私自身は、準決勝と決勝の模様をスポーツチャンネルの録画再放送で視聴したわけだ

が、リンクスに似た風景、狭くて起伏に富むフェアウェイ、傾斜が大きいグリーン、見

るからに意地悪気な難コースでの戦いは見ごたえ十分であった。とくに、マッチプレー

の面白さが十分に伝わった。現在プロの戦いはストロークプレーが主流なのだが、それ

は、人気選手が早々と姿を消すことがあるマッチプレーではTVの視聴率が取れないから

ということらしい。しかし、ゴルフはマッチプレーの方が見るのもするのも断然面白

い。そして公平でもある。ゴルフは自然環境に大きく影響されるので、同組でなければ

常に不公平感が付きまとう。また、マッチプレーは相手を見ながら1ホールごとの戦い

になるので、戦い方が違ってくる。できればプロの大会でも、マッチプレーを増やして

ほしいし、願わくばメジャーの一つは全米アマと同じ方式でやって欲しい。

話を戻そう。

馬場選手は、この勝利で来年の全米オープン全英オープンの出場資格を得た。

また、24日からフランスで開催される「世界女児アマチーム選手権」には、橋本美月、

上田澪空選手とチームを組んで出場する。この大会では、3人のうち上位2人のスコアを

積み上げる4日間の戦いとなる。この大会も注目だ。

 

馬場選手は現在17歳、日本ウェルネス高等学校の2年生である。この高校は通信制

単位制を取っており、ゴルフ部の生徒たちは皆プロを目指している。東京5輪「銀」

の稲見萌寧もここの出身である。

馬場選手はすらりと伸びた175㎝の長身で、MLBの大谷選手のように体格にも恵まれて

いる。その体格を利した世界トップクラスの飛距離、高い弾道のアイアンショットに加

え、思い切りのいいパット、キャディーとのコミュニケーション、何よりも物おじしな

い性格と上昇志向等々メンタル面でも大物になる資質を兼ね備えているように見える。

来年はプロテストを受けるそうだが、この伸び盛りの大型新星に熱い視線が注がれてい

る。2,3年後が楽しみである。

                    2022.08.19

百花繚乱の女子ゴルフ(J-117)

 

今年の全英女子オープンゴルフは、南アのA.ブハイが韓国の田仁智(チョンインジ)と

プレーオフを制して優勝した。3年前に渋野日向子と最終組で回った彼女が、再び最

終組で相まみえるというありえない展開の末、33歳にして悲願のアメリカツアー初の優

勝を飾った。

全英と聞けばドラマティックな展開を期待しまうこの大会も46回目を迎えたわけだが、

今年はとくに日本のファンの関心は高かった。

その理由の一つは、今回開催されたミュアフィールドG.C.が世界最古のゴルフクラブ

あると同時に、創設以来273年間女人禁制を守り続け、今回が初の女子メジャー開催

だということである。もう一つは、日本選手が12人も参戦するということにあった。

その中には、アメリカに拠点を置きメジャー大会の勝利に最も近い日本人選手と言われ

続けている畑岡奈紗を始め、直前のスコットランドオープンを大会新で優勝した米ツア

ー1年目の古江彩佳、国内4日間大会でノーボギーという新記録で優勝した絶好調の勝み

なみ、現在国内賞金ランキング1位の山下美夢有、伸び盛りで安定感のある西郷真央な

どが含まれている。さらには、メジャー制覇後の成績がもう一つさえない人気の渋野日

向子と笹生優花も、そろそろ目覚めるのではないか、うまくいけば2,3人がリーダー

ボードを賑わせてくれるかもとの期待があった。

そして何と、その通りの展開となったのである。

大会初日、渋野はいきなりの3連続バーディーでスタートし、8バーディー2ボギーの-6

でトップに立っ。2日目、渋野は+2とスコアを落として7位に後退し、ー5を出した田

仁智がトータルー8で首位を奪う。3踊り出る。この日は渋野も負けずに-5で回り、田は踊り出る。この日は渋野も負けずに-5で回り、田はどまった。かくしてこの3人が次のスコアで最終日に挑

むことになり、4位以下にはほぼチャンスはなさそうに見えた。

        

         3日トータル    F9(OUT)  B9(IN)
  A.ブハイ    -14        -11          -3

  渋野日向子     -9        -4             -5

  田 仁智      -9        -4        -5

 

ブハイは2位に5打差をつけており、4打差以上の逆転勝利はない全英の歴史からすれ

ばブハイの逃げ切りが濃厚ではあったが、詳細に見てみるとそうとも言えない波乱要素

もうかがえた。

ブハイはOUTを得意とし、2日目と3日目の二日間で1イーグル9バーディーを奪った。

それに比し、INは5バーディー2ボギーと他の二人に劣る。とくに、最難関ホールにラン

クされる最終18番が2ボギーで相性が悪い。渋野と田は全く同じ数値であるが、渋野は

14番田は15番でいずれも2ボギーと相性が悪い。以上の分析から、もし前半で差が広が

ったならば追いつくのは難しく、1打でも縮まっていれば14,15,18番ホールが鍵にな

りそうな気がした。

”最後は3人がー12で並び、3人のプレーオフになる”

これが私の(希望的な)予想であった。

8mの強風の中、最終日の競技が開始された。

最終組は予想だにしなかった渋野・ブハイ組、その一つ前が田仁智・朴仁妃の韓国組で

ある。

スコアが動いたのは2番ホール、まず田がバーディーを奪い、これに渋野が続いた。と

ころが、2日目3日目バーディーのブハイがここでボギーを叩く。なんだか怪しくなって

きた。

前半を終えたところで3人のスコアは、ブハイー13、田-12、渋野-10、もはや射程

圏内である。この時点では、最も安定したプレーを続けている田がやや有利かと思われ

た矢先、10,12番でボギーを叩いてしまう。13番を終えた時点で、ブハイー13、渋野

-10,田-10となり、ここからは3人が、先に指摘したそれぞれのキーホールに挑戦する

というスリリングな展開となった。

先ずは渋野の14番である。ところがよさそうに見えたドライバーショットはバンカーに

かまり、彼女は3オン3パットのダブルボギー、万事休すである。

次いで田の15番、彼女は無難にこのホールをパーで切り抜けるが3打差のままだ。

そして、ここで事件が起きる。ブハイのティーショットが深いラフにはまり、何とこの

ホールでまさかのトリプルボギーを叩いてしまう。

3ホールを残して、ブハイと田が―10で並び、渋野が2打差のー8,まだまだ分から

ない。そして渋野が17番でバーディーをとり、1打差の中でブハイのキーホール最終

18番を迎える。

まず1組前の田がパーでホールアウトし最終組を待つ。

渋野がここでバーディーなら3人のプレーオフもありえたが、バーディーパットは惜し

くも外れ3位が決定する、ブハイはぺレッシャーのかかるパーパットを気合で沈め、遂

に優勝の行方はブハイと田のプレーオフの持ち越される。

 

夕闇が迫る中でのPOは18番ホールの繰り返しである。ブハイには悪いが、本日+4で

18番を苦手とするブハイは苦しかろうと誰もが予想する中で、ブハイが執念を見せ、

遂に4ホール目に田がボギーを叩いてブハイが歓喜の初優勝を遂げる。

 

勝利の神は”女神“である。

であるが故に、気まぐれで、ちょっといたずら好きで、時に意地悪な振る舞いをする。

イメージするなら「奥さまは魔女」のサマンサ‥ではなくて、その母親の方だ。

要するに”ハプニング“や”スリリングな展開“がお好きなのだ。だからゴルフ場にはよく

お見えになる。今回はブハイの球をちょっと曲げてみせたが、3年前の渋野には4パッ

トの試練を与えた。

しかし、やはりそこは女神である。恨んだり落ち込んだりしなければ、再び微笑み返し

てくれる優しさがある。

ブハイはこの勝利でランキングを84位から27位に上げ、渋野も41位から30位に戻した。

今回の全英で予選を突破した4人の日本人選手は、全員が15位以内に入るという大健闘

ぶりを見せてくれた。参加しなかった選手の中には稲見萌寧や小祝さくらなどの実力者

も控えている。日本女子ゴルフ界はまさに百花繚乱の時代を迎えたかのようで楽しみは

増すばかりである。

                         2022.08.11

ウィルスプラネット(J-116)

 

新型コロナの感染が第7波に突入し、過去最大の大波となっている。

7月23日には1日の感染者数が20万人を超え、そろそろ下がり始めてもよさそうなものだ

が、今日も各地域で最多記録更新が続いている状況だ。

だが世界を眺めてみると、このような局面にあるのは日本だけのように見える。米欧の

感染者数そのものは日本とそう変わらないレベルではあるが、グラフで見れば低いとこ

ろでの横ばい状態である。これらの国々はすでに“ウィズコロナ”状態であり、行動制限

などはほぼ撤廃されている。共通しているのは、どの国も少し前に感染急拡大の大波を

経験していることだ。ならば日本も今回の大波を経て、米欧よりも一段と低いレベルの

横ばい状態を迎えるということなのだろうか。そして、執拗に”ゼロコロナ政策“を続け

る中国だけが、取り残されるのかもしれない。

思い出すのは2年半前である。

日本に最初のコロナ患者が出たのは2020年2月1日で、同じ日に韓国でも1人の患者が出

た。この時中国は291人、中国の数字は常に怪しさを伴うとしても、まあその程度であ

る。それが世界の合計だ。

このブログを開設したのはちょうどその頃で、3月9日に発信したJ-1 (爺怪説―1)の

題は「COVID-19は最強か」となっている。この日の感染者数は、日本が28人累計527人

であるが、中国は36人累計80735人と早くもピークを過ぎて収束の気配である。以来、

コロナに関連したブログ発信はおそらく30回以上になるだろう。

当時、専門家たちの多くは、マスクは無効である、手を洗えと口をそろえていた。

日本の感染状況が際立って穏やかであることに対する謎解きがしばしば話題になり、私

も悪乗りして、“花粉症”や”腸内フローラ”との関連性があるのでは?などと発信したこ

とがある。しかし、今もって日本の特異性は解明されていない。

このころ、最大の関心は東京オリンピックを予定通り開催できるかどうかに向けられて

いた。コロナの今後の見通しについては様々な見解や意見が登場したが、それらの多く

は間違っていた。そして、半ば顰蹙を買った最も厳しい見通し-つまるところ集団免疫

が形成されるまで感染は続く、3年程度は覚悟する必要がある-という説が結果的に正

しかった。そういった見解を述べていたのは、医療関係の専門家ではなくウィルスの専

門家や歴史学者であった。

2年半を過ぎた今、初期とは比較にならないほどの感染拡大の真っただ中にありなが

ら、かくも平静でいられるのはなぜだろうか。その最大の理由はワクチンだとして、も

う一つ「情報の共有」も重要な要素としてあげねばなるまい。2020年の日本全体の死亡

数はコロナ以前に予想されていた数値を下回った。コロナが新たな死因として登場した

にもかかわらず、全体の死者数は増えなかったのである。つまり、他の死因―インフル

エンザなどーを減少させた効果の方が大きかったということになる。ウィルス学者が予

想したように、新型コロナは概ね弱毒化の方向に変異を重ね、かつて火葬場への順番を

待つために並べられた袋詰め遺体の海外映像を目にしたころの恐怖感は消え去ってい

る。人々はウィズコロナの意味を理解したかのようである。

そんな中で、7月23日に放映されたNHKBS1コズミックフロントには驚かされた。

そのテーマは「ウィルス・プラネット」である。“地球はウィルスの支配する惑星”とも

読める表題からして、かなり挑戦的なのだが、“雲をつくって天候を左右し、海の異変

を終わらせ、温暖化をも抑制し、ウィルスがいなかったら哺乳類は生まれてこなかっ

た”というその内容は、ウィルスのことが少しわかってきたつもりの私には衝撃的であ

った。映像で説明されると、その時はなんとなく理解したつもりになっても実は分かっ

ていないことが多いので、この際ざっと整理しておきたいと思う。

 

ウィルスとは何か

・ウィルスには、生物に共通する特徴、①外界塗膜で仕切られている。②代謝を行う。

③自分だけで複製を行う。のうち、②、③がないので生物ではないとされている。

しかしウィルスの定義は変化してきており、将来的には生物の仲間に加えられる可能性

が高いと思われる。

・ウィルスのサイズはとても小さく、30~400ナノメートル(1/30000~1/2500ミリ)

程度で、光学顕微鏡では姿を捉えられない。その存在が確認されたのは1898年である。

・ウィルスはいたるところに存在しすべての生物の10倍を超える。海水1mlに少なくと

も1000万個のウィルスが存在し、すべてを集めると10の30乗という膨大な量になる。

これはシロナガスクジラ7500万頭に匹敵する。

・風邪のコロナウィルス229E は1968年に発見され、今も病気を引き起こしている。

NL63というタイプは鎌倉時代に発生したとも言われている。

・今回の新型コロナはSARSRNA配列と酷似しており、「未知のウィルス」というより

は「SARSの弱毒型変異株」とでもいうべき存在である。(京大、宮沢孝幸)

 

海の生態系維持

赤潮ヘテロシグマという植物プランクトンが異常増殖することで起きる。この赤潮

突然消滅するが、その原因はプランクトンがウィルスに感染して死滅するからである。

しかし、ウィルスは宿主を全滅させることはしない。あたかも共存関係にあるように見

えるが、そのメカニズムはまだ解明されていない。

 

地球の水循環

雨は地表に降り注ぎ川となって海に流れる。そして蒸発して雲を形成し再び雨となって

地表に降り注ぐ。これが地球の水循環である。このシステムがなければ多様な生物が生

きることは難しい。実はこの水循環システムにウィルスが関係している。

赤潮と違い白潮を引き起こすのは「円石藻」という名の植物プランクトンである。これ

がウィルス感染により死滅すると、その殻が分解し飛散して空中に漂う。この小さな粒

子が水滴の核となって雲を形成する。つまりウィルスは間接的に水循環に寄与している。

 

温暖化の抑制

海の表層(光が届く上層)には植物プランクトンがいて、海水に溶け込んでいるCO2 

と太陽光を利用して有機物を合成する。つまりプランクトンはCO2 を取り込み、その分

だけほぼ飽和状態にある海水に、新たにCO2を溶かし込む余裕を生じさせる。光合成

よりCO2を取り込んだプランクトンがウィルスに感染して死滅すると、やがてそれらは

海底に沈殿し、結果としてCO2 (炭素)をため込むシステムとして機能している。

その現象を観察してマリンスノーと名付けたのは北大の井上、鈴木両先生だ。

地球温暖化の危機が叫ばれているのは、このバランス機能が追い付かないほどの温室

効果ガスを人間が排出しているということなのだろう。

これまで、海のCO2を固定してくれる主役はサンゴとばかり思っていたのだが、どうや

ら主役はウィルスらしい。

 

生物の進化への影響

ウィルスにはDNA型とRNA型があり、さらに細かく分かれて7つのタイプがある。

その一つがレトロウィルスと呼ばれるタイプで、時に感染した細胞のDNAを書き換え

るという特徴がある。それが普通の細胞なら一代限りでおしまいなのだが、生殖細胞

感染すると子孫に遺伝することになる。通常はそのようなことが起きないように生殖細

胞は強固に守られているが、恐竜絶滅の時代にむしろ積極的と思われるほどにレトロウ

ィルスの遺伝子情報を取り入れたことが在ると見られ、ヒトゲノムの実に8%がウィル

ス由来であることがわかった。この時期哺乳類はレトロウィルス由来の配列を利用して

急速に多様化したと考えられる。

「ウィルス・プラネット」という番組のおかげで「京大おどろきのウィルス学講義」を

読み返すことになったが、著者の宮沢先生は最後にこう記している。

“地球環境の変化の中で、生物とウィルスは何億年間も「共進化」の関係を続けてきた

可能性があります。その関係を探るためにこれからも研究を続けたいと思います”

ウィルスのことは、実はまだほんの少ししか分かっていないらしい。

しかしこれまでに分かったことからすると、ウィルスは生物の暴走状態を制御し、地球

全体のバランスを保つような働きをしているように見える。そして、環境の激変があっ

たときには、その環境に適応できるように生物の進化を促しているかのようである。勿

論それは生物のためというわけではない。生物なしには生きられない自身の運命であ

る。ときに人類がターゲットにされたかのような事象が発生するのは、そこに「人類の

暴走」が存在することの証なのかもしれない。

だとすれば、「ウィルスプラネット」も決してオーバーな表現ではない。

                         2022.07.28

チコちゃんに叱られる(J-115)

車で1時間ほどのところに弟が住んでいて、2,3か月に1度くらい肴持参で飲みに来る。

楽しみにしているのだが、“職場の関係者にコロナが出た“ということで、しばらく来訪

が途絶えた。

「ワクチンも打ってるし、陽性になっても免疫が強化されるだけだから、こちらは構わ

んよ」と誘いをかけてみるのだが、「兄貴は“後期”(高齢者)だから」と用心深い。

それがようやく心配なくなったということで、約半年ぶりの来訪と相成った。

で、今回手土産に持ってきたのが“覚王山フルーツ大福「弁財天」”という和菓子であ

る。名前は老舗っぽいが聞いたことがない。

「最近大人気だけど知らない?来る途中寄ってみたら、もう人気の種類は売り切れて

これだけしか残っていなかった」と弟は言う。

パンフレットを見れば、あまおう、ピオーネ、キウイ、マンゴー、メロン等々20種類ほ

どのフルーツが載っている。一番人気はイチジクだという。

「高そうだな」と聞くと、

「うん、まあ一度ためしに・・」という。

姿かたちに特段の特徴はない。イチゴ大福と同じように見えるのだが、「おや?」と思

わせる仕掛けは、そこに“タコ糸”が添えられていることだ。

“この糸で切ってお召し上がりください”ということらしい。

やってみると、なるほど見事に切れて切り口が美しい。

そこで肝心の味はどうかということになるのだが・・・・

最初にピオーネを食べてみた・・・上等のピオーネである。つまり、素材(果物)その

ものの味が印象的だ。なるほど、うたい文句の“最高のフルーツを最高の状態で閉じ込

めた”に嘘はない。フルーツを包んでいる求肥の触感は柔らかくなめらかで”高級感“が漂

うが、味そのものは控えめだ。しかし、”衝撃度“でいえば”花畑健牧場には負けているか

も・・といった第一印象である。

そこから急に、話があらぬ方向に発展した。

「ところで、求肥ってなんだ?」と言ったのは私である。

白玉粉でしょ?」

「いや、求める肥って変じゃない?まてよ、“牛の皮”というのも見た記憶があるぞ」

「ギュウヒという音の当て字なのかな?」

こんな時、今の時代はまことに便利である。

「ギュウヒって何?」とスマホに聞く・・・答え一発、

「ギュウヒは平安時代唐から伝来した。牛皮に似ていることから付けられた名前だが、

日本ではその文字が嫌われて求肥となった」とある。

「なんだ、そんなことか。チコちゃんに叱られそうだな」

と笑い話になってしまったのだが、こんなことは他にもたくさんありそうな気がする。

というわけで、これまでちょっと気になりながらほったらかしにしてきた言葉を調べ始

めた。ところが、その作業は際限なく広がってまだ終わりが見えていないのだが、その

一端をご紹介したい。ただし、知っている人にはつまらない話ではある。

例えば「上前をはねる」という言葉である。

広辞苑その他の辞書を総合すると、”「上前」の元は「上米」で、江戸時代、諸国の年

貢に対して通行税と称し寺社がとりあげたもの”で「ピンハネ」に同じとある。

なるほどその正体は”上米“であったかと納得したが、今度は”ピンハネ“がわからない。

調べてみると、”ピン“についてはポルトガル語で点を意味するPintaに由来するというこ

とで異論はないが”キリ“については2説あって定かでない。その一つは、十字架(Crus)

に由来するという説で、辞書編集者で「チコちゃんに叱られる」にも出演したことが在

る神永暁先生もこの説を採っている。しかし、ピンとキリがセットで使われることを考

慮すると、どうもスッキリしない。そこでさらに調べてみるとWiktionaryにこんな説明

があった。

ポルトガルから伝わったカルタを基に「天正カルタ」が生まれ、その1(竜の絵)を

ピン12(王の絵)をキリと呼んだことから”・・・・これなら説得力がある。

それに、キリが王様なら“ピンからキリまで”の意味も、元々は逆の意味だったらしい。

次はポン酢である。これも何かいわくがありそうな名前だが、どうやらオランダ語

ponsからきているらしい。Ponsとは柑橘類などの果汁である。フルーツポンチのポンチ

も同じ由来だそうである。それにしても「ポンス」といわずに「ポン酢」としたところ

が、いかにも日本流だ。

このように、今までほったらかしにしていた言葉がいくらでも浮かんでくる。

それらを全て列挙するわけにもいかないので、最後にもう一つ、「ホットドッグ」を

取り上げて終わりにしたい。

出口宗和の「語源」によると、“ある競技場で、このソーセージは犬肉だと騒ぎ立てた

人がいてそれが広まった”と説明されている。しかし、なんだか胡散臭い。もしそれだ

けの理由なら、定着することはなかったのではないかという気もする。で、またもスマ

ホに聞いてみるとちゃんと出てくる。

”ホットドッグ:アメリカのドイツ移民がフランクフルトソーセージをパンにはさんで

食べたのが始まり。その姿から「ダックスフンド・ソーセージ」と呼ばれたが、ある漫

画家が、その絵に「ダックスフンドはいかが?」と書こうとしてDachshundのスペルを

思い出せなかったので「Hot dog」と書いたのが名前の由来“だとのこと・・・

ほぼ納得である。

チコちゃんに叱られようがどうされようがもはや手遅れ、あとはボーっと生きてやろう

とこの正月に決めたはずだったが、スマホはそれを許してくれない・・・

ああ、また目がかすむ・・・。

                          2022.07.18

 

 

 

 

 

言論に異議あり(J-114)

 

7月8日、安倍元総理が奈良市参院選の応援演説中、暴漢の凶弾を浴び死亡した。

“最も安全な国”ともいわれる日本で起きたこの事件は、“信じがたい惨劇“として世界に

衝撃を与えたが、ある意味”日本らしさ“をも漂わせている。

その一つは、犯行に使用された銃が”手製“であったこと、もう一つは”警備の甘さ”

である。

事件の概要は、メディアやSNSを通じてまたたくまに全国に拡散したが、政治家や識者

の発言はまるでハンコでも押したかのように、「言論を暴力で封じようとする暴挙」、

「民主主義に対する挑戦」といったコメントに集約されている。

あたかも二本の”金太郎あめ”のようなこの現象は、不気味でもある。

同時に、その発言内容や報道姿勢には首をかしげざるを得ない部分も少なくない。

 

まず第一に、現行逮捕された犯人についての発言である。

この男が元海上自衛官であったという事実は早い段階で報じられ、その経歴が20年前か

らの3年間であることもわかっていた。しかし、言論界のこの経歴に関する反応は明ら

かに過剰である。自衛官と手製の銃をこじつけたり、5.15,2.26事件をもちだしたり、

ほとんど“言いがかり”とも言うべき無茶苦茶な論法だ。

犯人が使用した銃の詳細は明らかでないが、見た眼には火縄銃のような原始的な構造の

ようである。実は小学生のころ、仲間の間で手製の銃をつくることが流行り、私も制作

したことが在る。銃身にはコウモリ傘の柄などを利用し、火薬には紙火薬をバラシて使

った。銃身に小さな穴をあけてそこに少し火薬を乗せ、ゴムを動力にした撃鉄でその部

分を叩くという仕組みだった。たいていは弾を込めずに音と炎だけで喜んでいたが、鉛

を溶かして弾をつくった奴もいた。まもなく大人たちに見つかって禁止されてしまった

が、かなりの威力があった。原始的な銃なら子供でも作れるばかりか、そもそも、海上

自衛官はそれほど銃に詳しくない。

皆が知りたいのは遠い昔の話ではなくて、犯人の最近の状況だ。

「何故メディアは“元”を強調する? 今何やってるかを先に教えて」とサッカーの本田

がツイートしている。その通りである。

 

次に最も気になる犯人の動機についてである。

犯人は「安倍氏の政治信条に恨みはない。特定の宗教団体に恨みがあり、初めはその団

体を狙っていたが、難しいのでその団体に深いつながりがある安倍氏を狙った」と告白

している。そこに至るまでに誤解や思い込みがあったかどうかは分からないが、おそら

くその発言に嘘はない。思想的な理由であるならそれを隠すことは目的に反するからで

ある。だから、思想的背景があったわけではない。

では、正義感に基づく懲罰・制裁の意味があったのかどうか・・・つまり、

“母親がある宗教に嵌まりひどいことになった。犠牲者は他にもいる。だからこの宗教

団体には懲罰を与えなければならない・・”と犯人が考えたかどうかということだが、

もしそうなら犯人ははっきりとその団体名を口にしているはずである。しかしその部分

は報じられない。

ここに問題がある。犯人が口にしようがしまいが、警察もメディアもおそらくその団体

名は分かっている。それをあえて公表しないのはなぜか・・・。

振り返れば、北朝鮮による拉致犯罪もオウム真理教のケースも、初期においては同様の

扱いが続いた。

SNSを探ってみると、その宗教団体は「統一教会」ではないかと推定されている。

あの「霊感商法」や「合同結婚式」で悪名を馳せた「世界基督教統一神霊教会」であ

る。教祖は死亡し現在は「世界平和統一家庭連合」と名を変えているが、おそらくそう

であろう。

遠からずこの情報は拡散すると思われるが、大手メディアはこの時を待っている。

先走れば、嫌がらせや業務妨害、訴訟などの厄介ごとに見舞われかねないからだ。

世間に名前が知られればあとは思うままに叩くことができる。この団体をターゲットに

した追求は、さらに政治と宗教界の関係にまで踏み込んでゆくのかもしれない。

そのときには、かつて自分たちが「暴力による言論封殺」、「民主主義への挑戦」など

と騒いでいたことはすっかり忘れ、自身が”エンマ大王”に変身する。

詳しくは書かないが、言論界は暴力による言論弾圧を激しく否定しながら、自分たち自

身が“言論による言論封じ”をしばしば行っていることに気づいていない、若しくは気づ

かぬふりをしている。

”ペンは剣よりも強し“ ペンは時に集団となって、剣よりも人を傷つける。

                          2022.07.11

バレーボールが熱い(J-113)

「1972ミュンヘン・オリンピックで、男子が「金」女子が「銀」を獲得した団体競技

いえば?」・・・・クイズ番組にでも登場しそうなほど遠い記憶となってしまったこの

答えはバレーボールである。かつては“お家芸”とまで言われ人気を博したこの競技が、

長いトンネルの闇を抜けて今輝きを取り戻している。

バレーボールの国際大会は、2018年からネーションズリーグという形になって毎年行わ

れているが、日本チームはこれまであまりいい成績を上げられていない。それどころ

か、以前のワールドリーグ(男子)、ワールドグランプリ(女子)の時代を含めて、

1990年あたりから低迷がつづいている。

すこし歴史をさかのぼってみよう。

バレーボールが初めてオリンピックに組み入れられたのは1964年の東京である。

この晴れの舞台で日本チームは、男子が「銅」、女子が「金」を獲得した。特に、女子

の決勝対ソ連戦は日本中が熱狂し、この時の66.8%というTV視聴率は1984年以前の紅白

歌合戦を除けば、いまも歴代一位の座を保っている。日本女子の「金」は1936年の

前畑(平泳ぎ)以来であり、彼女らは”東洋の魔女“とも呼ばれるヒロインとなった。

女子はその後も1976年モントリオールで「金」を獲るなど、しばらくトップグループに

いたが、男子はミュンヘン以降急速に力を失った。そして1990年ごろからのワールドシ

リーズでは、男子は概ね15位前後、女子は5,6位あたりが定位置となった。

2018年からのネーションズリーグの成績も次のようにさほど変わらない。

 

            ネーションズリーグの成績

          男子                女子  

   優勝  2位  3位 (日本の順位)  優勝  2位  3位 (日本の順位)

2018 ロシア フランス アメリカ    12位          アメリカ  トルコ    中国    10位

2019 ロシア アメリカ ポーランド  10        アメリカ ブラジル 中国    9

2020         ・・・・コロナにより中止・・・・

2021 ブラジル ポーランド フランス 11            アメリカ ブラジル トルコ     4

 

ところが今年は全く様相が異なり、男女ともに予選リーグで好成績を収めている。

今年は予選リーグが従来の16チーム”総当たり戦“ではなくて、4試合×3ラウンドの

各チーム12試合の予選リーグを行う。その上位8チームが決勝トーナメントに進むとい

う方式だ。男女共にここまで8試合を消化し、男子は6勝2敗で4位につけ、女子は8戦全

勝の首位に立っている。

男子の2敗は優勝候補のアメリカとフランスで、アメリカとは2-3セットの惜敗、フラン

スにはBチーム0-3ながらも好勝負を演じたので、もし決勝トーナメントで再戦するとな

れば勝つチャンスは十分ある。最終ラウンドは大坂が会場になるので地の利もあり、初

めての決勝トーナメント進出は勿論、メダルへの期待も膨らむ。

女子は、既に3連覇中の最強アメリカを3-0で下しているので、今日からの最終ラウン

ドで当たるオランダ、トルコ、セルビア、ベルギーにも負ける要素は見当たらない。

 

わずか1年前の東京オリンピックでは、男子は開催国枠で出場しベスト8に進出したが、

ブラジルに3-0で敗れて敗退し、女子は予選を突破できなかった。そのチームが1年足ら

ずで、これほど強くなるとは驚きである。どこにその秘密があるのだろうか。

いずれ専門家の分析がなされると思うので、素人が口をはさむべきではないが、素人が

口を挟めるのは今しかないので、この際敢えて口をはさんでみたい。

ここまで強くなった要因は色々あると思うが、あえて絞り込めば、男女ともにそれは

「サーブ力」と「新戦術」ではないかと思う。

男子のイタリア戦、日本は3-2でこの激戦をものにしたが、イタリアの強力なブロック

による得点とほぼ同じサーブポイントを挙げたことがまず挙げられる。もうひとつは、

高いブロックへの対策として、ブロックが完成される前にスマッシュを決める速攻と、

ブロックの壁にソフトに当ててリバウンドをとり多彩な攻撃に結び付ける戦術である。

いわば、体格とパワーのハンデを日本流の戦術で補う作戦だ。

 

ここで終わるつもりであったが、今日からカナダで始まった女子の最終第3ラウンド

の初戦対オランダ戦で”異変”が起きた。ここまで8戦全勝の日本が1勝7敗のオランダに

敗れたのである。最も楽な戦いのはずが、接戦に持ち込まれた末に2-3で負けてしまっ

たのだ。ほぼ予選敗退が決まったオランダはのびのびと闘い、おそらく最高の出来であ

ったのに対し、日本は受けて立とうとした。それが思い切りを失くし攻撃が単調になっ

てしまったように見えた。

この敗戦から言えることは、もともとチーム力の差はそれほど大きいわけではなく、

好不調の波や試合の流れで勝敗は変わるということだろう。

女子の次戦は7.2(土)のトルコ戦となる。オランダ戦を反省し修正するというよりも、

ここまでの戦いを思い出してもらいたい。

男女が揃って決勝トーナメントに進出するとなれば初めてのことだ。

猛暑の中、熱い戦いはまだしばらく続く。

                             2022.06.30

もう一つの参院選=SNS上の戦い(J-112)

前回のブログは、政党要件を満たしている既存政党についてしか述べていない。

新聞やTVが概ね対等に扱ってくれる、いわば表の参院選だ。

しかし、今回選挙がいつもと違うように感じられるのは、従来は「諸派」として「泡

沫」扱いされてきた政治団体が裏(SNS)で熱い戦いを繰り広げているからである。

若者の多くはSNSから情報をインプットしており、時代はこれらの政治団体を「泡沫」

として無視するわけにはいかなくなっている。

大手メディアが無視を決め込んでいる中で、毎日新聞は、6月22日の「風知草」(特別

編集委員山田孝男のコラム)で、そういった状況を“「参政党」現象”と題してこのよ

うな言い回しで触れた。

 

“知る人ぞ知る、知らぬ人は名さえ聞いたことがない政治団体について書く。(中略)

 過日、「サンセイトーってどうなんです?」と知人に聞かれ、「えっ?」と聞き返し

た。 知人は49歳で私は70歳。「ご存じないとはショックです」と知人は言い、私も驚

いた・・(略)”

実は私も「参政党」を知らなかったのだが、この記事を読んで一度これらの政治団体

ついて頭を整理してみようという気になった。中にはちょっと気になる団体もある。

先ずは目新しいところから・・・

参政党:

吹田市議の神谷宗幣(44)を中心に、“投票先がないなら自分たちで作ろう”と5人のメ

ンバーで2021年に立ち上げた。“誰かがやってくる時代は終わった”としてDIYを理念と

している。今回の選挙では、10の柱と3つの重点政策を掲げ、45選挙区のすべてと比例

区に5人を立てた。その中には元衆院議員で風見鶏のような松田学や中部大客員教授

武田邦彦先生もいてなかなか強力な布陣だ。

重点政策は、・教育・先人の知恵を生かしたSDGs・国の守り の3つだが、総じてグロ

ーバリズムへの抵抗感がみてとれる。

 

ごぼうの党:

会員制高級サロンなどを経営する奥野卓志(48)が立ち上げた。23日、都庁前で行われ

た初の街頭演説では、法被姿に天狗の面に白髪のかつらをつけて登場し、「この選挙を

祭りとして楽しめるような運動をしていく」「政治を花火のようにしたい」と訴えた。

20分程度のスピーチの後は、若者たちの「よさこいソーラン」風のダンスとなった。

お面にダンスはかつてオウムがやったパフォーマンスで印象が悪いが、有名芸能人やア

スリートたちの応援もあって、SNS上ではかなりの勢いがある。

“一番大切なものは「笑顔」であり、コロナ対策はその笑顔を奪った”と訴えるところと

合わせると、コロナが生んだ政治団体と見ることもできる。

ただ、一部には、立憲と参政の票を割らせようとする”自民の別動隊“であると指摘する

者もいる。

以下はお馴染みの団体である。

くにもり:

元々は「日本の敵とは徹底的に戦う集団=国守衆」という集団があり、「我らこそが自

民が立党宣言をした時代の魂を受け継ぐ嫡流である」と宣言していた。その政治家分野

が「新党くにもり」であるという。今回選挙には比例に党代表の本間奈々を立てている

が、彼女は早大から自治省に入り、その後わが春日井市の副市長を務め、札幌市長選に

も立候補したことが在るという元気な女性だ。

 

幸福実現党

宗教法人「幸福の科学」(総裁:大川隆法)を母体とするもはやお馴染みの団体だ。

勢いは下降気味であり、昨年には国政選挙から撤退する意思を表明したが、今回また党

首を比例に立てている。

 

日本第一:

ヘイトスピーチ橋下徹市長とのバトルで知られた桜井誠の団体であるが、未だに国・

地方共に議員はゼロ、自身も中核派青年との援助交際スキャンダルで元気はない。

 

新風:

魚谷哲夫(74)が1995年に設立した。

「あらゆるレイシズムに反対する」といいながら、「韓国との国交断絶」を主張するな

ど矛盾するところもあるが、一貫しているのは「戦後体制への不満」である。2009年ご

ろをピークに党員も減少し続けている。

 

以上を総括してみると、これらの政治団体の中に学生運動から派生した団体はいない、

全体的に反グローバリズムの傾向が見られ、右か左で言えば自民よりさらに右に立って

いるようにも見える。このことは自民がそれほど右に偏ってはいないことの証明である

ともいえよう。

ただ一つ、「参政党」だけは他とは違うところがある。

「自尊史観の教育」とか、「日本版SDGs」とか、「外国勢力が関与できない体制」だ

とかナショナリズム的な香りがプンプンしていても、演説を聞けば「れいわ」や「N

党」よりも穏やかで、国際試合で日本を応援するときと同じような気分にさせられる。

私は今回この党が1議席と政党要件の2%を獲得するのではないかとみているが、政治

家本来の務めはリーダーシップにあると考えるので、本気でメッセンジャー的な姿勢を

貫くつもりだとすれば、少々物足りない。しかし、存在意義はありそうで、今後伸びて

いくポテンシャルがある。

SNS上の熱い戦いに比べ、いまのところ表の戦いは冷ややかである。

一足も二足も早い梅雨明けと猛暑の所為だけでもあるまいが・・・。

であれば、自ずから限界がある。