樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

球春(J-158)

球春の主役

「球春」という言葉は「広辞苑」にはないが春の季語としては認められているらしい。

その謎はともかくとして、私のような野球ファンにとっては、「球春到来」という言葉に

は「桜の開花」に似た響きがある。

この時期、いつもならオープン戦や選抜高校野球を楽しみながら、あれこれ予想を膨ら

ませつつ開幕を待つことになるのだが、今シーズンは少々異なる様相となっている。

MLBが日本で1カードを先行させ、一足先に開幕してしまったからである。

しかもそのカードというのが、大谷・山本・佐々木を擁する昨シーズンの覇者ドジャー

ス対今永・鈴木のカブスというこの上ない組み合わせだ。

その他のチームより10日も早く、しかも外国でスタートさせるなどという”不公平“感は

ハンパなく、NPBならとても実現しそうにない企画なのだが、不思議なことにどこから

も文句が出ない。もともとMLBの試合日程や組み合わせは、ざっと眺めてもその“不公平

さ”加減はわれわれ日本人には違和感以上のものがある。しかし、あのように前近代的

な大統領選挙をやり続ける国民にとっては気にするほどのことではないらしい。”強いも

のが勝つのではなく勝ったものが強いのだ”という単純明快な理屈なのであろう。

一票の格差憲法違反と騒ぐ我々は、もう少しおおらかになってもいいかもしれない。

いずれにせよ、この”興行“は大成功をおさめ、MLBは球春の主役の座を奪うと同時に、

日本の野球ファンの関心をそのまま引きさらっていったような感がある。

その主役は、言うまでもなくドジャースであり大谷翔平である。

 

ドジャースの今期予想

ドジャースは、昨シーズン苦労した投手陣を中心に強力な補強を行い、ポストシーズン

進出はもとより、連覇の可能性も十分にあると期待されている。もしかすると、レギュ

ラーシーズン最多の116勝を塗り替えるという予想もあるほどだ。

実際、東京シリーズの2連勝に続き、DET(タイガース)ATL(ブレーブス)をスイープ

して、前チャンピオンの開幕連勝記録7を塗り替える8連勝という好スタートを切った

ところまでは余裕で達成できそうな雰囲気であった。ところが、その後敵地に乗り込ん

でのPHY(フィリーズ)、WSHナショナルズ)戦を連続して負け越し、14戦を終えた

時点(4.10)で10勝4敗となっている。

実はこの成績は昨シーズンと全く同じで、好調な滑り出しと言っても良いものだ。仮に

この勝率を保てば、ちょうど歴代最多に並ぶ116勝となる。

それでも不安な要素はいくつかある。その一つは故障者が多いことだ。

投手陣は、ローテーションの軸になるはずのブレイク・スネルをはじめとして現在12人

がIL(故障者リスト)入りし、ナショナルズ戦では早くも先発ローテーションに狂いが

生じてしまった。

昨シーズン獅子奮迅の活躍を示したブルペン陣も、ハドソンが引退し、コペックとフィ

リップスがIL入りしている。今のところ補強組のイェーツ(レンジャーズ)、ガルシア

レッドソックス)、サウワー(ロイヤルズ)、スコット(パドレス)を起用して凌いで

いるが、スコット以外はあまり当てになりそうにない。ただ、2年目のカスペリアスと

新人ドレーヤーの二人が期待以上なので、バンダ、ベシア、トライネンに加えてコペッ

クが復帰すれば昨シーズン以上のブルペン陣になる可能性がある。最終的にはチーム防

御率を4.0前後に抑えられるだろう。

打撃陣についても、このところ得点力がやや下降気味だる。フリーマンのケガの影響は

やはり大きく、下位打線は極端な打撃不振に陥っている。大谷の調子は昨シーズン並み

であるが、ここまでの打点がわずか5点に留まっている。フリーマンの代役キケ・ヘル

ナンデスの打率はやっと1割程度で、マンシー、パヘズの出塁率も良くない。直近6試合

の平均得点は3.6という状況だ。ドジャースは、大雑把に言えば5点以上取って4点以下に

抑えるチームなので、平均得点が3.6では勝率があがらない。

しかし、嬉しいことに朗報が二つ入った。一つはフリーマンの復帰である。もう一つは

マイナー・スタートとなっていた新加入のキム・ヘソンがようやく本領を発揮し始めた

ということで、近々昇格するのではないかという情報だ。

二つ目の懸念はライバルチームの好調さである。

ドジャースは全球団中のトップで10勝に到達したが、実は順位表で見ればナ・リーグ西

地区の第3位なのである。1位はSD(パドレス)の10勝3敗、2位がSF(ジャイアンツ)

の9勝3敗となっている。昨シーズンカモにしていたSFが意外に好調で、負け越したPHY

フィリーズ)、SD(パドレス)は今期も強力だ。連覇どころか地区優勝さえも容易で

はないのである。SFとSDは同地区でありながら6月まで対戦がない。つまり6月に最初の

山場を迎えることになる。次の山場は7月だ。スター選手が多いドジャースは、オール

スターが負担になる。昨シーズンの7月は11勝13敗と負け越している。しかし、ここを

乗り越えれば徐々に選手層の厚さにものを言わせて突っ走れるはずだ。

私の予想は、シーズン117勝でドジャースナ・リーグを制するとみる。

ナ・リーグを制すればWSも勝てると思うが、最後は”運”と”シリーズ男”の出現にかかっ

てくるだろう。

大谷の今期予想

今期二刀流に復帰する大谷への関心と期待は膨らむばかりであり、開幕前から彼の成績

については多くの予想が発表されている。とりあえず、そのなかから特徴的な二つを取

り上げてみよう。一つ目はOptaが3月末に発表した次のAI予想である。

投手としては、 防御率3.67、8.49勝 5.34敗、奪三振134

打者としては

 打席 打数 安打 打率 打点 本塁打 得点 盗塁  四球 出塁率 ops

 656 564  152 .269 103   37   114   42  83       .365     .900

実は昨シーズンもOptaはこれとよく似た予想値を発表しているのだが、実際には

全ての項目においてそれらの数値を大幅に上回ったのだから”大外れ“だったわけで、

またも大恥をかきそうな、ちょっと理解に苦しむ予想となっている。

もう一つはESPNシミュレーションゲームを使用して算出した次の予想だ。

それによると、大谷の2025シーズンは打率.337、56本塁打、143打点で三冠王

投手としても11勝3敗防御率3.49の成績を上げ、投打を合わせたWARは歴代4位の12.4

で、堂々の連続MVP獲得となっている。

私の最大の願いは、投打ともに規定数をクリアしてほしいということだが、投手復帰が

遅れたので今期はおそらく162回には届かないだろう。また三冠王は、彼が1番打者を続

ける限り打点がネックになりそうだ。

今シーズン、ファンとしては、大谷がまたまた古い記録を掘り起こしてくれることを期

待しているが、その一つに「四球150クラブ」がある。(実際にはそのような名称はなく

筆者の造語)

歴代、1シーズンで150以上の四球を選んだ選手は5人しかいない。その5人とはバリー・

ボンズベーブ・ルーステッド・ウィリアムズマーク・マグワイア、エディ・ヨス

トという伝説の選手たちで、大谷もぜひこのクラブに入会してほしいと願っている。

他に誰もいない2回目の40-40も狙えそうだ。投手をやりながらの達成は不滅の記録とな

るに違いない。

MVPについては、超大型契約でメッツに移籍したファン・ソトが精彩を欠き、アクーニ

ャjrもまだ復帰できずにいるので(膝前十字靭帯断裂)今のところ大谷の対抗馬がいな

いように見える。

MVPの選出の際は必ずWARという指標が話題になり、歴代最高はベーブ・ルースの14.1

ということになっているが。しかし、その時代にはまだWARという指標はなく、あとか

ら無理やり算出したものだ。大谷の投手としての最高6.2(22年)と打者としての最高

9.2(24年)を合わせると15.4になる。だから、彼には1923年に作られた「?」がつく記

録をスッキリと塗り替えるポテンシャルがある。そのチャンスは、今後数シーズンの大

谷にしか訪れないのではないだろうか。

最後に、私の今期予想を掲げて終わりとしよう。

2025シーズンの大谷選手は、

投手として13勝3敗、防御率2.90、打者として打率.333、50本塁打、打点125、40盗

塁、150四球、OPS1.111。 

根拠は? ・・・ありません。

                       2025.04.12