樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

北京冬季五輪展望(J-96)

 

冬季五輪といえば、概ね人口100万にも満たない程度の“田舎都市”が開催地となる。

ところが今回の北京は人口2000万以上の大都市である。しかも、「夏」・「冬」の両方

を開催する初めての都市として名が刻まれることにもなる。

その第24回冬季オリンピックが5日後に迫っているというのに、なんだか祭りの前の

盛り上がりがないような気がしてならない。

最大の原因はコロナであろう。しかしもう一つ、中国自身の事情がある。いわゆる人権

問題にからむ対外問題と冬季スポーツに対する熱の低さという国内事情である。今回の

自国開催でそれらがどう変化するかは気になるところでもある。

 

冬季五輪には、体重などによるクラス分けのある種目がない。また、その競技を行う環

境を整備するには相当の費用を要するものが多い。したがって、相対的に体格の劣る人

種や後発国には不利な条件がそろっている。しかし一方でその状況に変化が起きている

ことも事実である。過去のデータを振り返りながら北京2022とその後を展望してみたい。

 

              冬季五輪のデータ

年  開催地 参加国  種目数       3強         日本のメダル数

1972 札幌   35   36   ソ連・東独 ・ノルウエー  1-1-1    3

1998 長野   72   68   独 ・ノルウエー・露   5-1-4   10

2002 ソルトレイク  78   78    ノルウエー・ 独 ・米     0-1-1    2 

2006 トリノ  80   84   独 ・ 米 ・加     1-0-0  1

2010 バンクーバー 82   86   加 ・ 独 ・米     0-3-2  5

2014 ソチ   88   97   露 ・ノルウエー・加    1-4-3  8

2018 平昌      92       102   ノルウエー ・独 ・加     4-5-4    13

2022 北京   91    109   ノルウエー ・ 露 ・独     2-8-9    19

 

・この表からわかるように、何と言っても冬の王者はノルウエーである。人口約530万人で世

界の120位、北海道とほぼ同じ人口の国が、競技種目数が増えてもこのポジションを保

っているのは驚きだ。

・1998長野五輪までは露(ソ連)・独(東独)・ノルウエーが3強であったが、2002ソルトレイク

から米国、2010バンクーバーからはカナダと自国開催をきっかけに両国が躍進し旧3強を脅

かす存在になってきた。1番安定していたドイツはやや下降気味である。

・日本は長野のあと勢いに乗ることができず、2006トリノでは荒川静香の金が唯一のメ

ダルといった風に低迷が続いた。しかし2014ソチあたりから徐々に成果を上げるように

なり、前回の平昌では過去最多となる金4銀5銅4、合計13個のメダルを獲得した。夏

同様女子の活躍が目立ち、今回の北京選手団でも男子49人に対して女子は75人と圧倒し

ている。

・2022北京の赤文字はGracenote(米)の予想であるが、日本は金2銀8銅9計19個の予

想となっている。私は、メダル総数はこんなものかと予想しているが、メダルの色はも

う少し上に行くのではないかと期待している。夢の総数20台到達も十分ありうる。

ちなみに韓国は、金2銀3銅3、中国は金6銀2銅3,の予想となっているが、中国につ

いては何が強いのか見当もつかない。もし選手がそれなりの活躍を見せれば、今後の飛

躍につながるかもしれないが、近年力を入れているサッカーがなかなかうまくいかない

ように、そう簡単にはいかないのではないかとも思う。それはつまるところ、すそ野の

広がりの問題であり、卓球のようにはいかないぞ、と思うからである。

                           2022.1.31