冬季五輪といえば、概ね人口100万にも満たない程度の“田舎都市”が開催地となる。
ところが今回の北京は人口2000万以上の大都市である。しかも、「夏」・「冬」の両方
を開催する初めての都市として名が刻まれることにもなる。
その第24回冬季オリンピックが5日後に迫っているというのに、なんだか祭りの前の
盛り上がりがないような気がしてならない。
最大の原因はコロナであろう。しかしもう一つ、中国自身の事情がある。いわゆる人権
問題にからむ対外問題と冬季スポーツに対する熱の低さという国内事情である。今回の
自国開催でそれらがどう変化するかは気になるところでもある。
冬季五輪には、体重などによるクラス分けのある種目がない。また、その競技を行う環
境を整備するには相当の費用を要するものが多い。したがって、相対的に体格の劣る人
種や後発国には不利な条件がそろっている。しかし一方でその状況に変化が起きている
ことも事実である。過去のデータを振り返りながら北京2022とその後を展望してみたい。
冬季五輪のデータ
年 開催地 参加国 種目数 3強 日本のメダル数
1972 札幌 35 36 ソ連・東独 ・ノルウエー 1-1-1 3
1998 長野 72 68 独 ・ノルウエー・露 5-1-4 10
2002 ソルトレイク 78 78 ノルウエー・ 独 ・米 0-1-1 2
2006 トリノ 80 84 独 ・ 米 ・加 1-0-0 1
2010 バンクーバー 82 86 加 ・ 独 ・米 0-3-2 5
2014 ソチ 88 97 露 ・ノルウエー・加 1-4-3 8
2018 平昌 92 102 ノルウエー ・独 ・加 4-5-4 13
2022 北京 91 109 ノルウエー ・ 露 ・独 2-8-9 19
・この表からわかるように、何と言っても冬の王者はノルウエーである。人口約530万人で世
界の120位、北海道とほぼ同じ人口の国が、競技種目数が増えてもこのポジションを保
っているのは驚きだ。
・1998長野五輪までは露(ソ連)・独(東独)・ノルウエーが3強であったが、2002ソルトレイク
から米国、2010バンクーバーからはカナダと自国開催をきっかけに両国が躍進し旧3強を脅
かす存在になってきた。1番安定していたドイツはやや下降気味である。
・日本は長野のあと勢いに乗ることができず、2006トリノでは荒川静香の金が唯一のメ
ダルといった風に低迷が続いた。しかし2014ソチあたりから徐々に成果を上げるように
なり、前回の平昌では過去最多となる金4銀5銅4、合計13個のメダルを獲得した。夏
同様女子の活躍が目立ち、今回の北京選手団でも男子49人に対して女子は75人と圧倒し
ている。
・2022北京の赤文字はGracenote(米)の予想であるが、日本は金2銀8銅9計19個の予
想となっている。私は、メダル総数はこんなものかと予想しているが、メダルの色はも
う少し上に行くのではないかと期待している。夢の総数20台到達も十分ありうる。
ちなみに韓国は、金2銀3銅3、中国は金6銀2銅3,の予想となっているが、中国につ
いては何が強いのか見当もつかない。もし選手がそれなりの活躍を見せれば、今後の飛
躍につながるかもしれないが、近年力を入れているサッカーがなかなかうまくいかない
ように、そう簡単にはいかないのではないかとも思う。それはつまるところ、すそ野の
広がりの問題であり、卓球のようにはいかないぞ、と思うからである。
2022.1.31