Oはオミクロン株、Kは韓国大統領選挙のつもりである。それがOKどころかまさかの展開になっている。
先ずはオミクロン株。昨年11月南アフリカで確認されたオミクロン変異株は、あっとい
う間に欧米に広がり、これまでにないスピードで感染拡大を続けている。
1月11日、WHO欧州事務局は、今後6W~8Wで、管轄地域(欧州、中央アジアなど53
ヵ国)の人口の約半数がO株に感染するというワシントン大学の予測を引用して警戒を
呼び掛けた。
そんな中で日本は、世界の感染爆発をよそ目に年末までは沈静化を保ち、もしかすると
このまま収束するのではないかという期待を抱かせたが、約1か月遅れで感染の急拡大
に見舞われ、政府は3回目のワクチン接種を前倒しするなどの対策に追われている。
中国の都市丸ごと全面ロックダウンは極端な例外として、もっとも厳しい対応を見せて
いるのはフランスと東欧諸国である。
フランスのマクロン大統領は、年明け早々のインタビューでワクチン接種を拒否する
人々に対し“社会生活をできるだけ制限してとことんうんざりさせてやりたい”と発言し
て物議を醸し、オーストリアは全国民にワクチン接種を義務付けた。
しかしここはひとつ冷静になって、オミクロン変異株を見極める必要がある。
例えば英国のデータを見てみよう。下表が過去最大のピークと現在の比較である。
英国のデータ
1日の感染者数 死亡数
2021.01.20. 33,454 1612
2022.01.06 225,760 50
ご覧の通り、両者には著しい違いがある。
感染者数が約7倍に増えている一方で、死亡数は約30分の1、死亡率で言えば200分の1
に減少しているのだ。
これはワクチンの効果があるとしても、明らかにオミクロン株の弱毒化を示すものだ。
オミクロン株は、変異した部分が30以上もあるという。だからこそ感染力が強くワクチ
ンをすり抜ける能力が高い。ただし、症状は軽く治りも早い。日本でも、10万人当たり
の感染者数で一桁多い沖縄で、いまだ“ECMO”を必要とする患者が出ていない。
常識的に考えれば、次の変異株が生まれるとすればそれはオミクロン株からの変異とな
るはずだ。その場合、現有のワクチン効果が薄れる可能性が高い。
だとすれば、極論すれば、元気な若者にとっては、オミクロン株感染が最大の予防効果
を発揮することになる。
WHOの“いい加減さ”は今に始まったことではないが、2か月足らずで人口の半分が感染
するというのもおかしな話だ。その前に集団免疫が形成されるだろうし、仮にもしそう
なったとしても、1週間前までの患者のほとんどは既に完治しているはずだから、死亡
率さえ低ければそれほど恐れることはない。WHOもWHOだが、それをそのまま流す
メディアも同類であると言わざるを得ない。
日本政府は、それらの情報に惑わされることなく、沖縄の状況を注視しながら、ここは
むしろ隔離期間や観光・外食産業、受験生への配慮など規制を緩和する方向に舵を切る
べきではないだろうか。
次はK、韓国の大統領選挙である。
事実上、李・在明、尹・錫悦候補の一騎打ちで、どちらがより嫌でないかの戦いと言わ
れていた大統領選が、にわかに混とんとしてきた。
世論調査によると、最近までリードしていた野党「国民の力」の尹候補が与党「ともに
民主党」の李候補に逆転を許し勢いを失うなかで、中道系野党「国民の党」の安・哲秀
候補への支持が伸びてきたのである。直近の支持率は李36%、尹26%、安15%である
が、20代、30代の若い層に限れば、李27.7、安20.2、尹16.2で、安候補が李候補に迫る
勢いを見せている。全体としては、李候補の支持率は変わらず、尹候補の下落分が安候
補にそのまま移ったかたちとなっている。
その原因として、尹候補の家族のスキャンダルが報じられているが、その見方はおそら
く間違っている。もともと保守層の中には、元検察総長として朴槿恵前大統領を厳しく
糾弾した尹候補への恨みが残っており、党内がまとまっていないのである。
尹候補は選対の総入れ替えを行って事態の打開を図ろうとしているが、この期に及んで
の内紛は致命的かもしれない。 李候補もスキャンダルには事欠かず、ことによると、
比例代表のみのわずか3議席しかない「国民の党」の総裁安哲秀が次期大統領に選ばれ
る可能性も十分にありうる情勢だ。
ただし現状は最悪の方向―李在明大統領の誕生―へと向かっているかに見える。
2022.01.13