「AI恐るべし」といっても囲碁将棋の話ではない。
新型コロナ感染者の将来予測である。具体的には第6波の予想だ。
「AI予測第6波は控えめ?」というタイトルのその記事は、いつもなら全面広告に当て
られる20面で、危うく見逃すところであった。
当日の1面トップは、「性加害防止策明文化3割」という何だかセンスのない見出しが付
けられた、児童相談所職員の性犯罪防止策の実態調査で、それも6~7月に実施された調
査結果である。
話題性から言えば、そんな古い話よりもこのAI予測の方に軍配があがるはずだが、それ
をこれほど”控えめな“扱いにしたのには、それなりの理由がありそうだ。
これまで、政府のコロナ対策に一貫して批判的であったことがあるかもしれないし、こ
の記事の元となった研究発表に対する信頼度に疑義を抱いているのかもしれない。
前置きが長くなったが、その記事の内容は次の通りである。
(一部省略、加筆修正あり)
“「AI予測第6波は控えめ?」
今冬の感染拡大が予想される新型コロナウィルスの「第6波」をめぐり、最近になって
人工知能(AI)が興味深い予測結果をまとめた。第6波は第5波をも上回る規模になるの
ではないかと警戒されているが、例えば東京都でいえばピーク時で370人と予測する。
AIの予測が当たりそのまま収束を迎えることができるのだろうか。(中楽)
そんな中、第6波について、名古屋工業大の平田晃正教授のチームが開発したAIが興味
深い予測結果を出し注目を集めている。(中略)平田教授は「今冬の第6波は東京だけ
でなく、全国的にも大5波の5分の1から10分の1に抑えられるだろう」と強調する。実は
このAI、第5波の急激な感染者数減少について予測を的中させた実績がある。“
というものだ。
早速ネットで検索してみると確かにその通りである。
急減少のタイミングこそ実際よりも2,3週間遅れているが、感染者数の曲線はほぼ一致
している。”見事に”といってもいいくらいである。
この研究は、ずいぶん前から試行錯誤を重ね、様々なデータの利用が可能になるにつれ
その制度を高めてきたものらしい。その末にここに至ったわけで、今後信頼度はさらに
増していくと期待できるものだ。
第6波予測の前提条件は次の通りである。
・年末までの2回目接種率80%
・3回目スタート時期12月初旬
・3回目の1日当たりの接種数ピークの1/3(2.5万人)
・人流:3月末でコロナ前に戻るペースで昨年度のデータに上乗せ
・感染対策は維持
以上、大胆ともいえるこの予測は、医療や感染症の専門家でないからこそできたのかも
しれないが、いずれにせよその結果は間もなくわかる。
AIにまぐれ当たりはないとなさそうなので、大いに期待しているところである。
2021.11.24