樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

風向きは祝賀ムードに(J-82)

何の話かと言えば、10.1に宮内庁が婚姻の予定を発表した眞子内親王と小室圭さんの結

婚問題である。

4年前の婚約発表以来、二人は激しいバッシングの嵐を受け続けつづけてきたが、

初志を貫き、遂に今月26日婚姻届けを提出するところまで粘りぬいた。

“もういいではないか”・・・というムードが広がり、風向きは明らかに変わった。

そのムードに押されてか、”隠れ応援団”も姿を現し始めた。

眞子さまのご結婚を全力で祝福いたします」という女性論客3人の対談(週刊ポス

ト、10.15)もその一つに上げられよう。女性論客とは、テレビのコメンテーターなどで

おなじみの、山口真由、三浦瑠璃、倉田真由美の3氏である。

結構長い対談なのだが、筆者が感じた“キモ”はこの部分だ。

 

(山口)自立を促し続けた秋篠宮さまの希望通り自分の意思で一番大切な選択をしたん 

    だから、実は文句のつけようがない

(山口)米国では自分で選んだこと自体が重要で、その選択が賢いか愚かかは二の次

(三浦)極端なことを云えば眞子さまには不幸になる権利もある

(山口)自分で失敗できるって素晴らしいこと

(倉田)そうそう

 

この3方、ご存知の通りの個性派なのだが、不思議なくらいにハモっている。

そしてどうやら、眞子さまに自分たちと同質のものがあると感じているらしい。それは

つまり“自立した女性”である。

ならば、もっと早く言ってくれればよかったのにとも思うのだが、“日本社会の同調圧

力”(ノーベル賞真鍋先生の言葉)に対抗するには3人のパワーが必要だったのかもしれない。

いずれにせよ、大きな流れは、容認・祝賀・応援の方向に変わりつつあると思われる

のだが、未だ乗り遅れてバッシングを続ける人たちもいる。

片田珠美という精神科の女医さんもその一人だ。ときどきメディアにも登場する印象的

な目玉の持ち主と言えば思い出す人もいるだろう。

その先生がBusiness Journal に連載している「精神科女医のたわごと」は誠に辛らつ

である。

“小室さん親子、皇室を揺るがす「鈍感力」の原因・・・他人の反応を遮断、低い感受

性” というタイトルのついた小論文は週刊誌の引用から始まる。

 

“9月27日にアメリカから帰国し、14日間の隔離期間を経て、秋篠宮家の長女眞子さま

ともに記者会見する予定と報じられた小室圭さんについて、その「鈍感力」を「週刊新

潮」(9.30号)が指摘している。

確かに、秋篠宮さまが望まれた「多くの人が納得し、喜んでくれる状況」にはほど遠い

どころか、コロナ禍で経済的に困窮する国民も少なくない状況で、結婚式も「納采の

儀」も「朝見の儀」も行わない「暴走婚」に突き進むのは、かなりの「鈍感力」の持ち

主だからではないかと疑いたくなる“…(中略)・・・

もっとも「鈍感力」を武器に、利用できるものはとことん使い尽くし、批判をものとも

せずのし上がった成功者はまれではない。“

 

なんだか“悪意”を通り越して”敵意“さえ感じられる書出しである。そのせいか、意味不

明な部分もある。儀式を行わないことを暴走というのなら、コロナ禍云々は関係ない。

 ー上記の引用部分に続いて精神科医らしい記述がそれに続く。

“こういうタイプには、アメリカの精神科医グレン・ギャバ―ドが「無自覚型のナルシ

スト」と名付けたタイプが多い。(中略)ギャバ―ドは「無自覚型」の特徴として次の

6つを挙げている。

  • 他人の反応に気づかない
  • 傲慢で攻撃的
  • 自己陶酔
  • 注目の的でいたい
  • “送信器”はあるが“受信機”がない
  • 他人の気持ちを傷つけることに鈍感

 

片田女医は小室さんを「無自覚型のナルシスト」と決めつけたのち、伝聞による小室家

のスキャンダルを延々と述べ、最後をこう結んでいる。

“だから日本国民がどれだけ反発し、怒ろうとも、小室さんは持ち前の「鈍感力」を発

揮して、入籍後にアメリカに戻り、眞子さまとの新生活を始めると思う。それでも少な

くとも私は記者会見にも結婚にも厳しく突っ込ませていただきます”

 

そしてその宣言通り、世間の風向きが変わっても攻撃の手をやめるつもりはないらし

い。10.8の「精神科女医のたわごと」はこんなタイトルだ。

「小室佳代さんを東京地検刑事告発、詐欺罪で・・・捜査の行方、眞子さまの病状に

影響も」

その内容は、10.6にジャーナリストの篠原常一郎氏が小室佳代さんを詐欺罪で告発した

というものである。

どんな詐欺かと言えば、「佳代さんが元婚約者から金銭的援助を受けながら遺族年金を

受け取ったこと」及び「病気休業中にアルバイトしながら疾病手当を受け取ったこと」

だという。こんなことで一般人をジャーナリストがいきなり地検に刑事告発するなどと

いうことはまずありえない。あるとすればむしろ行政側に対する追及であろう。

不思議に思って調べてみれば、このジャーナリストはいわばユーチューバーで、どちら

かと言えば”お騒がせ屋“みたいな人物だ。

それを知ってか知らずか、片田女医はこう言うのである。

“今回、佳代さんが刑事告発されたことを取り上げたのは、これが事実だからだ。刑事

告発は紛れもない事実なので「誹謗中傷」には該当しないと思う。もちろん篠原氏の告

発内容が事実か否かはしるよしもない。(中略)疑惑が晴れて「白」ということになれ

ば、眞子さまの病状改善にプラスになるだろう。(中略)勿論一連の疑惑が「黒」と判

明する可能性もないわけではない。ただその場合、小室さん母子への批判は事実に基づ

くものとなり「誹謗中傷」には該当しない。“

 

無茶苦茶な論法である。しかも、告発状は受け取りを拒否されなかったというだけで、

未だ受理されてはいないらしい。いったいこの方は本当に医師なのかと疑問さえ湧いて

くる。PTSD症状がみられるという患者(眞子さま)に対する医師としての”暖かさ“がま

るで感じられないではないか。

先に自身が取り上げた「無自覚型ナルシスト」の条件をもう一度眺めてもらいたい。

それこそ片田、篠田両氏にぴったり当てはまりはしないだろうか。

 

この他にも未だにバッシングを続ける人たちがいるが、多くはバッシングにより利得を

得ている-つまり稼いでいる人たちーとそれに乗せられている人たちである。

世論調査の結果が、「結婚をよかったと思う」が多数派になったと見るや、いち早く方

針を変えたTV番組もあるが、今後その流れは加速されそうだ。

そのあたりを見事にバッサリと切り捨てた論者もいる。成城大の森陽平教授である。

日刊ゲンダイDIGITAL(10.10)にアップされた記事、

眞子さま結婚を奉祝に転換・・TBS系「ゴゴスマ」“手のひら返し”に強烈な違和感』

で森教授は、同番組がわずか6日前に放送した内容とまるで違った態度の急変を強く批

判し、このように結んでいる。

“テレビっていったい、どんな媒体なのか。世論の風向きや状況により、いうことを変

える。反省も説明もなく、視聴者をごまかし、世論を誘導するメディアだと批判されて

も仕方がない。東国原氏のようなバッシング派を登場させ、小室さんへの嫌悪感を煽っ

ていた放送は何だったのか“

ー全く同感である。

 

さて、これまでバッシングを続けてきたメディアは多い、むしろ大半がそうであった。

今後彼らがどうふるまうかは、ある意味”見もの”ではあるが、どうかアメリカまで追い

かけて行ったりはしないでほしい。

もはや私たちはそっとしておくほかはないのだ。

それが、マナーというものである。

                          2021.10.12