例年だと日本シリーズも決着の時を迎えていそうなこの時期、26日のソフトバンク
に続いて30日の巨人と、数試合を残してセ・パ両リーグの優勝チームが決まった。
今年のペナントレースは、新型コロナの影響で開幕が大幅に遅れ、6月19日からの
140日間で120試合を消化するという超過密日程となり、選手層の厚いソフトバンク
と巨人が有利ではないかとみられていたが、やはりその通りの結果となった。
パリーグの方は、2位チームとのCS決戦があるのでまだ分からないが、終盤の勢い
からみてソフトバンクが順当に勝ち上がってくる可能性が極めて高い。
昨年と同じ組み合わせとなった場合、巨人ファンの一人としては、4タテを食らった
昨年の雪辱を果たすことができるかどうか、今から気をもみながら、両者を比較した
りして楽しんでいる。
両チームにはよく似たところとそうでないところがある。まず目に留まるのは、
意外な共通性である。それは、両者が他のどのチームよりも個人成績のランキング
入りが少ないという事実だ。
ランキング入りしているのは、巨人では菅野投手、ソフトバンクでは柳田外野手
ただ一人。その両チームが2位以下に大差をつけて圧勝したのである。
この現象は、今後のチーム作りやドラフト会議にも影響してくる可能性を秘めている。とくに、ソフトバンクのメンバーには育成出身が多く、ドラフト上位指名はむしろ
少ないといってさしつかえない。
また野球界全体として、主力に占める外国人選手の比率が明らかに低下しているのは、日本のレベルが上がったことの証でもあり、歓迎すべき現象だと思う。
さて、どちらに分があるか、10月末時点でのデータを大まかに見てみよう。
巨人 .610 506 397 130 .256 4.51 3.39
S.B .636 517 375 122 .251 4.50 2.92
両者のデータは、かなり似ているという感じもするが、一つ際立った違いがあり、
それはチーム防御率だ。近い数字に見えてこの差は大きい。
平均失点が2.92、つまり3点取れば勝てるというチームは強いに決まっている。
そのカギは勿論先発投手陣が握っている。
両チームの予想される先発投手5人を比較してみよう。
巨人 ソフトバンク
菅野 2.04 14 2 16 千賀 2.31 10 6 13
戸郷 2.92 8 6 9 東浜 2.02 9 1 10
サンチェス 3.05 8 4 8 和田 2.94 8 1 7
畠 3.52 4 3 4 石川 2.48 10 3 10
今村 3.43 4 2 5 ムーア 2.64 6 3 7
一目瞭然、ソフトバンクの先発陣の成績は圧倒的である。
この5人が規定投球回数を満たしていれば全員ベストテンにランクされる
成績だ。規定投球回数に満たなかったのは、それだけ投手陣が豊富であった
ということで、ソフトバンクは他にも笠谷、二保などが控えている。
一方打撃陣に関しては、どちらかと言えば巨人の方にやや分があるようにも
見える。しかし、よく言われるように打撃の方は水物で、その時のコンディション
に左右されることが多く、あまりあてにならない。
ここまでの戦いぶりを振り返ると、巨人は序盤から着々と貯金を積み重ね、
10月を10勝4敗と負け越しながらも余裕を持って逃げ切ったのに対し、
ソフトバンクは9月まで接戦を演じながら10月を22勝4敗という驚異の
勝率で一気に差し切った。勢いもまたソフトバンクに利があるように見える。
しかし、シリーズまではまだ3週間ある。巨人としては、疲れが見えてきた
リリーフ陣の回復と打撃陣の調整がカギとなるだろう。
いずれにせよ、ソフトバンクの強力な投手陣を巨人打線がいかに攻略するか
という戦いになると思うが、周東対策や監督の采配にもまた興味をひかれるところで、今から楽しみな今年の日本シリーズである。
ただ、もしロッテが勝ち上がってきた時は、申し訳ないが私の興味は半減する。
2020.11.1