樗木(ちょぼく)の遺言と爺怪説

愛国的好奇高齢者の遺言と違和感をエッセイ風に・・・

新内閣とメディア (J-33)

9.16、菅新内閣が発足した。

安倍首相の突然の辞任表明から、さしたる混乱もなく、

スピード感満載の交代劇は、コロナ禍のこの時期、

国民にとっては一つの安心材料になったと感じる。

 

どうやら、菅さんが独りで決めたらしい新閣僚の顔ぶれは、

再任8、横滑り3、再入閣4で、初入閣は新設の万博担当を含めて

5名という布陣だ。

見るからに実務重視の“仕事内閣”で、そこに新首相の覚悟の一端が

示されている。

ところが、それが気に入らない二つの勢力がある。

奇しくも時が重なり、スタートと同時に萎んでしまった合流新党と

一部のメディアである。

 

曰く、

「ヴィジョンがない」

「国家観がない」

「手段ばかりで目標がない」

「派閥重視」

「安倍のいない安倍内閣」・・・

といったコメントが並ぶ。

私が目にした最もひどい記事は「週刊朝日」の

“「菅義偉 新首相の知られざる過去」

―亡き父が激白した3時間の全記録-

で、朝日新聞の大鹿記者が寄稿したものである。

この記事は11年も前に菅さんの郷里で取材した内容がベースになっている

のだが、例の橋下徹事件を思い出させるような文脈となっていて、まさに

”性懲りもなく“という印象を受ける。

記事はこんな風に始まる。

“もう11年前のことだが、当時アエラ編集部の記者だった私は、自民党内で

めきめきと頭角を現してきた菅義偉という政治家の人物像を描こうと、

生家のある○○という集落に出かけた。菅にはどこかしら翳のようなものが

あると感じられたが、私は彼の郷里に赴いて初めてその独特の翳の由来を

推察できた気がした。・・・“

取材の内容のほとんどは菅さんの父親から聞いたものだが、

集団就職の美談の真相は「全然勉強せず大学落ちた」であるとか、

学生運動を見に行って捕まった過去があるとか、あまりパッとしない

話題だけをとりあげている感じがする。

父は個性が強く饒舌で、1時間の予定が3時間になったと書いてあるのだから、

そんな話しか聞き出せなかったとしたら、記者としての能力が問われる。

父親を和三郎、母親をタツと呼び捨てで書いてあるのも違和感があり、

ハナから “知られたくないルーツを暴いてやる” といった、

いわば ”よこしまな” 意図が丸見えなのである。

さて、このあと朝日の態度がどう変わるか少々気になるところではある。

 

どうでもいいことではあるが面白いことに、この週、「週刊朝日」と「サンデー毎日

と「アエラ」の表紙がみな「香取慎吾」でダブった。

 

話を元に戻そう。

菅さんは最初から「安倍政権の取り組みを継承する」と言明している。

だから、それを実現するための手段が「目標」になっているのである。

 そして直近の世論調査はそれを支持しているのだから、筋は通っている。

 

新総理は、言っちゃあ悪いが見栄えはイマイチかもしれない。

列国の要人たちと並んで記念撮影をする時を想像すると、少々わびしい。

しかし、長年官房長官を無難に務めてきた実績に基づく安心感がある。

いきなり「桜を見る会」の中止を宣言して、決断力と実行力の片鱗をみせて

いるようにも見える。

そして、国民の人気は意外なほどに高く、そこはメディアとくにTVのスタンス

に影響し始めているようにも見える。

私も、この政権、"ワンポイントリリーフ”には終わらないと見ている。               

                      2020.09.17